200825_外商投資企業投訴業務弁法(日本語試訳)

この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。

中華人民共和国商務部令
2020年 第3号

2020年8月18日の第29回商務部会議で「外商投資企業投訴業務弁法」が審議され、通過したため、これより公布し、2020年10月1日に発効する。

部長 鐘山 2020年8月25日

外商投資企業投訴業務弁法
第一章 総則

第一条 外商投資企業からの投訴を迅速かつ効果的に処理し、外商投資の正当な権益を保護し、外商投資環境を持続的に改善するために、「中華人民共和国外商投資法」および「中華人民共和国外商投資法実施条例」に従って本弁法を制定する。

第二条 本弁法で言う外商投資企業投訴とは、
(一)行政機関(法法、法規により公共事務を管理する権限を与えられた機能的組織を含む)及びその業務職員(以下、被告とする)の行政行為により、その適法な権益が侵害された外商投資企業、外国投資家(以下、原告とする)から投訴業務機関に調整解決を申請した行為。
(二)原告が投訴業務機関に投資環境の面で存在する問題を反映し、関連政策措置の改善に提言する行為。

前項で言う投訴業務機関とは、商務部と県級以上の地方人民政府が指定する外商投資企業の投訴を受理する責任を負う部門或は機関である。

本弁法で言う外商投資企業の投訴には、外商投資企業、外国投資者が調整解決を申請したその他の自然人、法人又はその他の組織との間に発生する民事商事の争いの行為は含まれない。

第三条 投訴業務機関は公平、公正、合法及び階層ごとに責任を負う原則を遵守し、原告から報告された問題に迅速に対処し、関連政策と措置の調整改善に協力しなければならない。

第四条 原告は事実に基づいて投訴を報告し、証拠を提供し、投訴業務機関の業務展開に積極的に協力しなければならない。

第五条 商務部は、国務院の関連部門と連携し、外商投資企業投訴業務合同列席会議制度(以下列席会議と呼ぶ)を構築し、中央レベルの外商投資企業投訴業務を調整・推進し、地方の外商投資企業投訴業務を指導・監督します。列席会議弁公室は商務部の外国投資管理司に設置され、列席会議の日常業務を担当し、そして、全国外商投資企業投訴センターの業務状況を指導・監督しています。

第六条 商務部は以下の投訴事項の処理を担当する。

(一)国務院の関連部門、省、自治区、直轄市人民政府とその職員が関与する行政行為。
(二)国務院の関連部門、省、自治区、直轄市人民政府に、関連政策と措置を改善するよう提言する行為。
(三)全国的に又は国際的に重大な影響があり、商務省がその処理を認めた行為。

商務部で全国外商投資企業投訴センター(以下は全国外資投訴センターと呼ぶ、商務部投資促進事務局に一時的に設立されている)が設置され、前述の規定に定められた投訴事項を担当する。

全国外資投訴センターは、外商投資の関連政策や規制に対する広報に取り組み、外商投資企業の投訴業務に関する研修を展開し、投訴問題処理の経験を促進し、関連する政策提言を提出し、地方の外商投資企業からの投訴処理業務を監督し、投訴問題の発生を積極的に防止する。

第七条 投訴業務を処理するため、県級以上の地方人民政府は部門又は機関(以下、地方投訴業務機関と呼ぶ)を指定すべきである。地方投訴業務機関は投訴業務規則を改善し、投訴方法を健全にさせ、投訴受理範囲と投訴処理期限を明確にすべきである。

地方投訴業務機関は被告から自地域の行政機関とその職員の行政行為に対する投訴行為、また、自地域の関連政策措置の改善への提言等を受理する。

第八条 原告が本弁法の規定により、行政機関との間の紛争を解決するため、調整を申請する場合、法定期限内における行政再検討、行政訴訟等の形で申請する権利に影響を及ぼさない。

第九条 「中華人民共和国外商投資法」第27条に規定されている商会及び協会は、本弁法に基づき、会員の提言した投資環境における問題を投訴業務機関に報告し、具体的な政策措置に関する提言を提出することができる。

第二章 投訴の提出及び受理

第十条 原告は投訴事項を提出する際に、書面資料を提出しなければならない。投訴資料は現地提出でき、手紙、ファックス、電子メール、オンライン申請などの形でも提出できる。

原告による投訴提出の利便性を高め、各級の投訴業務機関はその住所、電話及びファックス番号、電子メール、ホームページ等の情報を公開しなければならない。

第十一条 本弁法の第二条第一巻の第(一)項に規定されている投訴に必要な投訴資料は以下を含まなければならない。
(1)原告の名前或いは名称、郵送先住所、郵便番号、関連連絡者と連絡先情報、当事者資格証明資料、投訴提出日。
(2)被告の名前或いは名称、郵送先住所、郵便番号、関連連絡者と連絡先情報。
(3)明確な投訴事項および投訴による請求
(4)関連する法的根拠がある場合、関連事実、証拠、および理由と一緒に提供できる。
(5)本弁法の第十四条第(七)、(八)、(九)項に記載されている事情が存在するか否かの説明。

本弁法の第二条第一項第(二)号に規定されている投訴に属する場合、投訴資料には、前項第(一)号に規定された情報、投資環境に存在する関連の問題及び、具体的な政策措置の提言が含まれなければならない。

投訴資料は中国語で書かなければならない。関連証拠と資料原本が外国語で書かれている場合、正確かつ完全な中国語訳を提出しなければならない。

第十二条 原告は、投訴の進行を他の者に委託することができる。原告が他の者に投訴の進行を委託した場合は、本弁法の第十一条に規定されている資料以外に、原告の身分証明書、発行された授権委託書及び委託者の身分証明書を投訴業務機関に提出しなければならない。授権委託書には委託事項、権限および期限が明確に記載されなければならない。

第十三条 投訴資料のすべてが揃っていない場合、投訴業務機関は、投訴資料を受け取ってから7営業日以内に、書面で原告に15営業日以内に補足訂正するよう通知しなければならない。 補足訂正通知には、補足訂正が必要な項目と期限を明記しなければならない。

第十四条 以下の状況にある投訴については、投訴業務機構は受理しない。
(1)投訴当事者が、外商投資企業、外国投資者ではない場合。
(2)その他の自然人との調整解決の申請、法人或は組織との間の民事商事に関する争い、又は本弁法に規定する外商投資企業の投訴事項の範囲に属さない場合。
(3)本投訴業務機関の投訴事項の受理範囲以外の場合
(4)投訴業務機関からの本弁法第十三条の規定により補足訂正通知の後、投訴資料が本弁法第十一条の要求にまだ満たしていない場合。
(5)原告は証拠を偽造、変更するか、或は明らかに事実に基づく根拠を欠いていてる場合。
(6)新しい証拠又は法的根拠がなく、同じ投訴業務機関に重複して投訴される場合。
(7)同じ投訴事項が既に上級の上の投訴業務機関によって受理又は処理された場合。
(8)同じ投訴内容が既に信訪等の部門(市民からの投書・陳情に対応する機関)によって受理又は処理さた場合。
(9)同じ投訴内容が既に行政の再検討、行政訴訟等の処理に既に入ったか、又は完了した場合。

第十五条 投訴業務機関は、全てが揃った投訴資料を受け取ってから7営業日以内に理するか否かを決定しなければならない。投訴受理条件を満たした場合、受理すると共に原告に受理通知書を送付すべきです。

受理条件を満たさない場合、投訴業務機関は7営業日以内に原告に不受理の通知書を送付すると共に、不受理の理由を説明しなければならない。 本弁法の第十四条第一項第(三)号に該当する場合、投訴業務機関は、関連投訴業務機関に投訴を提出するよう告知できる。

第三章 投訴処理

第十六条 投訴業務機関は投訴を受理した後、原告及び被告と十分に連絡を取り、状況を理解し、法律に従って調整・対処し、投訴事項の適切な解決を促進しなければならない。

第十七条 投訴業務機関が投訴を処理する際、状況をさらに説明したり、資料又はその他の必要な協力を提供したりするように原告に要求することができ、原告も協力しなければならない。投訴処理機関は被告に対し状況を理解することができ、被告は協力しなければならない。

投訴の具体的な状況に応じ、投訴業務機関は、原告及び被告を招聘し、共に参加する会議を開催することもでき、意見を述べ、投訴問題の解決策について詳細に討議する。 投訴業務機関は、投訴処理業務の必要に応じ、専門的な問題について、専門家に意見を聞くことができる。

第十八条 投訴事項の異なる状況に応じて、投訴業務機関は次の方法で対処できる。
(1)原告と被告の相互理解を促す(和解合意の達成を含む)。
(2)被告の間の調整。
(3)県級以上の人民政府とその関連部門に、関連政策措置の改善への提言を提出。
(4)投訴業務機関が適切とみなすその他の対処方法。

原告と被告が和解合意に署名する際には、和解できた事項と結果を明記しなければならない。 法律に従って締結された和解合意は原告とと被告に対する拘束力がある。被告が合意した和解合意を履行しない場合、「中華人民共和国外商投資法実施条例」の第四十一条の規定に従って処理される。

第十九条 投訴業務機関は投訴を受理してから60営業日以内に受理した投訴事項を結了させなければならない。 複数の部門にわたり、複雑な状況の投訴事項の場合、処理期間を適切に延長することもできる。

第二十条 以下の状況にあるとき、投訴処理は結了できる。
(一)投訴業務機関が本弁法の第十八条に従って調整処理し、原告が結了に同意した場合。
(二)投訴事項が事実と矛盾している場合、又は原告が資料の提供を拒否したために事実を確認できない場合。
(三)原告の関連請求に法的根拠がない場合。
(四)原告が書面で投訴を取り下げた場合。
(五)原告が投訴の当事者資格を満たさなくなった場合。
(六)投訴業務機関からの連絡があっても、原告が正当な理由なしに30日連続で投訴処理業務に参加していない場合。投訴処理期間に、本弁法の第十四条の第(七)、(八)、(九)に列挙された状況が発生した場合、原告が書面で投訴を取り下げたものと同様にみなします。
投訴処理結了後、投訴業務機関は、3営業日以内に投訴処理結果を書面で原告に通知しなければならない。

第二十一条 投訴事項が受理日から1年以内に本弁法第二十条の処理がが結了できない場合、投訴業務機関は当該状況を同レベルの人民政府に速やかに報告し、関連業務に対する提言を提出しなければならない。

第二十二条 原告が地方投訴業務機関から出た不受理の決定又は処理結果に同意しない場合、原投訴事項を上位の投訴業務機関に投訴を提起することができる。それに対し、上位の投訴業務機関は当該投訴業務機関のの規則に従って、原投訴事項を受け入れるか否かを決定できる。

第二十三条 投訴業務機関は健全な内部管理制度を確立し、投訴処理の過程において知りえた原告のの商業上の機密事項、守秘義務のある商業上の情報及び個人情報を保護するために、法律に従って有効な措置を講じなければならない。

第四章 投訴業務管理制度

第二十四条 投訴業務機関は投訴文書管理制度を確立し、関連投訴事項の受理及び処理状況を迅速、全面、正確に記録し、年度毎に分類して保存しなければならない。

第二十五条 地方域の投訴業務機関は、受け取った投訴の数、処理の進捗状況、完了した投訴事項のの詳細状況及び関連政策の提言等の情報を含め、2か月ごとに一つ上位の投訴業務機関に投訴業務の状況を報告しなければならない。省、自治区、直轄市の投訴業務機関は、奇数月前の7営業日以内に全国外資投訴センターに過去2か月の当該地域の投訴処理状況を報告し、全国外資投訴センターよりまとめてから列席会議弁公室に提出しなければならない。

第二十六条 地方投訴業務機関が投訴を処理する過程において、関連地域又は部門の業務に普遍的問題がある、又は関連規制文書が法律規制に違反している、或は明らかに不適切である状況の場合、全国外資投訴センターに報告する同時に、政策措置の改善方法を提言でき、全国外資投訴センターによってまとめられた後、列席会議弁公室に提出されます。

第二十七条 全国外資投訴センターは、各省、自治区、直轄市の投訴業務を監督し、定期検査制度を確立し、各省、自治区、直轄市の人民政府に投訴業務状況を報告し、状況を見て社会に公開します。

第二十八条 全国外資投訴センターは、外商投資企業の権益保護に関する提言書を毎年列席会議弁公室に提出し、外商投資企業、外国投資者、商会、協会、および関連する地域や部門によって報告された典型的な事例、主要な問題、政策措置提言をまとめ、投資保護強化と投資環境改善のために適切な提言を提出しなければならない。

第五章 附則

第二十九条 投訴業務機関とその職員が外商投資企業投訴過程における職権を乱用、義務懈怠、個人的な利益のための不正行為、投訴処理過程においてで知りえた商業秘密、守秘義務のある商業情報、個人情報を他人に開示又は違法に提供したする場合、「中華人民共和国外商投資法」第三十九条の規定によって処理される。

第三十条 原告は外商投資投訴処理体系を通じて問題を報告又は問題の調整解決を申請する場合、いかなる組織及び個人はそれを抑制又は攻撃・報復してはならない。

第三十一条 香港特別行政区、マカオ特別行政区、台湾地域の投資者及び海外在住の中国国民の投資企業からの投訴は本弁法を参照し、処理される。

第三十二条 本弁法は商務部が解釈の責任を負う。

第三十三条 本弁法は2020年10月1日に施行される。 同時に、2006年9月1日商務部第2号令によって公布された「商務部外商投資企業投訴業務暫行弁法」は廃止される。

(中国語原文)
http://www.mofcom.gov.cn/article/b/c/202008/20200802996409.shtml