210610_中華人民共和国印紙税法(日本語試訳)

この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。

中華人民共和国印紙税法

(2021年6月10日第13回全国人民代表大会常務委員会第29回会議で採択)

第一条 中華人民共和国国内における課税文書を発行し、証券取引を行う組織と個人は、印紙税の納税者であり、この法律の規定に従って印紙税を納付しなければならない。
中華人民共和国の領土外において発行された課税文書を、国内で使用する組織と個人は、この法律の規定に従って印紙税を納付しなければならない。

第二条 この法律でいう課税文書とは、この法律に添付されている「印紙税税目税率表」に列挙されている契約、財産権譲渡証書と営業帳簿をいう。

第三条 この法律でいう証券取引とは、法律に従って設立された証券取引所、国務院が承認したその他の全国的な証券取引所で取引された株式及び株式を基礎とした預託証書の譲渡をいう。
証券取引印紙税は証券取引の譲渡人に対して課され、譲受人に課されない。

第四条 印紙税の税目・税率は、この法律の添付されている「印紙税税目税率表」に従って執行する。

第五条 印紙税の課税基準は次の通りである。
(一)課税契約の課税基準は、契約に記載されている金額により、記載された増値税を含まない。
(二)課税財産権譲渡証書の課税基準は、財産権譲渡証書に記載された金額であり、記載されている増値税を含まない。
(三)課税会計帳簿の課税基準は、帳簿に記載されている払込資本(株式資本)と資本剰余金の合計額である。
(四)証券取引の課税基準は、取引金額である。

第六条 課税契約、財産権譲渡証書に金額が明記されていない場合、印紙税の課税基準は実際に決済された金額に基づいて決定する。
課税基準が前項の規定に基づいてもなお決定できない場合には、取り交わされた契約、財産権譲渡証書の市場価格に基づいて決定する。法律に従って政府決定価格または政府指導価格を実施する場合、国の関連規定に基づいて決定しなければならない。

第七条 証券取引に譲渡価格がない場合、名義変更登録手続を行う際の当該証券の取引日の一日前の終値に基づいて計算する。終値がない場合は、証券の額面価格に基づいて課税基準を確定させる。

第八条 印紙税の課税額は、課税基準に基づいて該当する税率を乗じて計算する。

第九条 同じ課税文書に二つ以上の税目事項が含まれている場合、それぞれの金額を記載されている場合、それぞれの適用する税目の税率に基づいて課税額を計算する。金額が個別に記載されていない場合は、より高い税率が適用される。

第十条 同一の課税文書が二者以上の当事者によって取り交わされた場合、それぞれに関連する金額に基づいて個別に課税額を計算する。

第十一条 印紙税を納付した営業帳簿において、以後の年度に記載されている払込資本(株式資本)と資本剰余金の合計額が、印紙税を納付した払込資本(株式資本)と資本剰余金の合計金額より増加した場合、増加部分に基づいて課税額を計算する。

第十二条 次の文書は印紙税が免除される。
(一)課税文書の副本又は写し。
(二)法律の規定に従って免税とされるべき、在中国外国大使館、領事館及び国際機関の駐在員事務所は、施設を取得するため取り交わされた課税文書。
(三)中国人民解放軍、中国人民武装警察部隊が取り交わした課税文書。
(四)農民、家庭農場、農民専門協同組合、農村集団経済団体、村民委員会は農業生産資材を購入、或いは農産物を販売するために発行した売買契約と農業保険契約。
(五)無利子または割引借入契約、国際金融機関が中国に優遇貸付を提供する時に取り交わした借入金契約。
(六)財産所有者は、政府、学校、社会福祉機構、慈善団体に財産を寄付するために取り交わした財産権譲渡証書。
(七)非営利医療・衛生機構による医薬品または衛生材料の購入するために取り交わした売買契約。
(八)個人と電子商取引経営者による締結した電子注文。
国民経済と社会発展の必要に応じて、国務院は住民の住宅需要の保障、企業の再編、破産、小型・零細企業の発展支援等に対して、印紙税の減免または免除を規定し、全国人民代表大会常務委員会に備案するために報告する。

第十三条 納税者が組織の場合は,その機構の所在地の管轄税務機関に印紙税を申告し、納付しならければならない。納税者が個人である場合は、課税文書の発行地または納税者の居住地に規定される管轄税務機関に印紙税の納付を申告し、納付しなければならない。
不動産財産権が譲渡された場合、納税者は不動産所在地の管轄税務機関に印紙税を申告し、納付しなければならない。

第十四条 納税者は海外の組織又は個人であり、国内に代理人がいる場合、その国内代理人を徴収義務者とする。国内に代理人がいない場合は、納税者が自ら申告し印紙税を納付し、具体的な措置は国務院の税務管轄部門が規定する。
証券登録・決済機関は証券取引の印紙税の徴収義務者である場合、その機関の所在地の管轄税務機関に税金及び銀行決済の利息を申告し、納付しなければならない。

第十五条 印紙税の納税義務は、納税者が課税文書を取り交わし、又は証券取引の当日とする。
証券取引印紙税の徴収義務が発生する日は、証券取引が完了した当日とする。

第十六条 印紙税は四半期、年、または回数単位で課税される。四半期、年で徴収する場合、納税者は四半期、年の終わりから十五日以内に税金を申告し、納付しなければならない。回数単位で徴収する場合、納税者は納税義務が発生した日から十五日以内に申告し、納税しなければならない。
証券取引印紙税は週単位で納付する。証券取引印紙税の徴収義務者は、毎週の終わりの日から五日間以内に税金及び銀行決済の利息を申告、納税しなければならない。

第十七条 印紙税は、印紙税票の貼付、または税務機関が法律に従って発行した他の納税証書方法で納付することができる。
印紙税票が課税文書に貼付されている場合、納税者が各印紙税票に割り印或いは線を引くことによって取り消される。
印紙税票は国務院の税務管轄部門によって監理する。

第十八条 印紙税は税務機関がこの法律と《中華人民共和国税収徴収管理法》の規定に従って徴収及び管理する。

第十九条 納税者、徴収義務者と税務機関及びその職員がこの法律の規定に違反した場合、「中華人民共和国税収徴収管理法」と関連法律、行政法規の規定に従って、法律責任を追及する。

第二十条 この法律は2022年7月1日から施行する。1988年8月6日に国務院が公布した「中華人民共和国印紙税の暫定条例」は同時に廃止される。

添付

印紙税税目税率表

税目

税率

備考

契約(書面契約) 借入金契約 借入金額の一万分の0.5 銀行金融機関、国務院銀行業監督管理機関の許可を経て設立された他の金融機関と借主(同業貸付を含まない)の借入金契約
ファイナンスリース契約 リース金額の一万分の0.5
売買契約 代金の一万分の三 動産売買契約(個人的取り交わしによる動産売買契約を含まない)
請負契約 報酬の一万分の三
建設工事契約 代金の一万分の三
運輸契約 運輸費用の一万分の三 貨物運輸契約及び複合合同輸送契約(パイプライン運輸契約を含まない)
技術契約 代金、報酬或いは使用料の一万分の三 専利権、専有技術使用権移転証書を含まない
賃貸契約 賃貸料の千分の一
保管契約 保管費の千分の一
倉庫保管契約 倉庫保管料の千分の一
財産保険契約 保険料の千分の一

税目

税率

備考

土地使用権譲渡証書

代金の一万分の五 譲渡には売買(売却)、相続、贈与、交換、分割を含む
土地使用権、建物等建築物及び構築物所有権譲渡証書 代金の一万分の五
株券譲渡証書(証券取引印紙税を納税すべきものを含まない) 代金の一万分の五
商標専用権、著作権、専利権、専有技術使用権譲渡証書 代金の一万分の三
営業帳簿 払込資本(株式資本)、資本剰余金の合計金額の一万分の2.5
証券取引 成約金額の千分の一

 

(中国語原文)
http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202106/ac04259fbbc24b9581156b81d3c76275.shtml