この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。
中華人民共和国反外国制裁法
(2021年6月10日第十三回全国人民代表大会常務委員会第二十九回会議で採択)
第一条 国家主権、安全、発展利益を維持するために、我が国の公民、組織の合法的権益を保護し、憲法に基づき、本法を制定する。
第二条 中華人民共和国は独立自主の平和外交政策を堅持し、主権と領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和共存の五原則を堅持し、国連を中心とする国際システムと国際法を基礎とする国際秩序を維持し、世界各国との友好協力を発展させる。人類運命共同体の構築を推進する。
第三条 中華人民共和国は覇権主義と強権政治に反対し、いかなる国もいかなる口実でも、いかなる方法によっても中国の内政に干渉することに反対する。
外国国家は国際法と国際関係基本準則に違反して、各種の口実で或いは自国の法律に基づいてわが国を抑制、弾圧し、我が国の公民、組織に対して差別的な制限措置を取り、わが国の内政に干渉する場合、我が国は相応の反制裁措置を取る権利がある。
第四条 国務院関係部門は、直接または間接的に制定、決定に参加し、本法第三条に規定する差別的制限措置を実施する個人、組織を反制裁リストに列挙することを決定することができる。
第五条 本法第四条の規定に基づいて反制裁リストに列挙された個人、組織を除いて、国務院関係部門は下記の個人、組織に対して反制裁措置をとることを決定することができる。
(一)反制裁リストに列挙された個人の配偶者と直系親族。
(二)反制裁リストに列挙された組織の高級管理者又は実際の支配者。
(三)反制裁リストに列挙された個人が高級管理者を担当する組織。
(四)反制裁リストに列挙された個人と組織が実際にコントロールし、または設立、運営に参加する組織。
第六条 国務院の関係部門は各自の職責と任務によって分業し、本法第四条、第五条に規定する個人、組織に対して、実際の状況によって次の一つまたは複数の措置をとることができる。
(一)査証を発給せず、入国禁止、査証の取り消しまたは国外追放
(二)我が国国内の動産、不動産及びその他各種財産の封鎖、差押、凍結
(三)我が国国内の組織、個人が関連取引、協力等の活動を行うことの禁止または制限
(四)その他必要な措置
第七条 国務院の関係部門が本法第四条から第六条までの規定に基づいて決定するものは最終決定である。
第八条 反制裁措置をとる根拠となる状況が変化した場合、国務院の関連部門は、一時停止、変更または関連制措置を取り消すことができる。
第九条 反制裁リストと反制裁措置の確定、一時停止、変更又は取消は、外交部又は国務院その他の関係部門が命令を出して公布する。
第十条 国家は外国に対する制裁業務の協調メカニズムを設立し、関連業務の調整を統括する。
国務院の関係部門は協力と情報の共有を強化し、各自の職責と任務に基づいて分担して関連する反制裁措置を決定し、実施しなければならない。
第十一条 我が国国内の組織及び個人は国務院の関連部門がとる反制裁措置を実行しなければならない。
前項の規定に違反する組織と個人に対して、国務院の関連部門は法により処理し、関連活動に従事することを制限または禁止する。
第十二条 いかなる組織と個人も、外国国家が我が国公民、組織に対してとる差別的制限措置の執行または執行に協力してはならない。
組織と個人が前項の規定に違反し、我が国の公民、組織の合法的な権益を侵害する場合、我が国の公民、組織は法により人民法院に訴訟を提起し、侵害の停止、損害賠償を要求することができる。
第十三条 我が国の主権、安全、利益の発展を害する行為については、本法の規定の他に、関連法律、行政法規、部門規則により、その他必要な反制裁措置をとることができる。
第十四条 いかなる組織及び個人による反制裁措置の不執行及び非協力については、法に照らして法律責任を追及する。
第十五条 外国国家、組織又は個人の実施、協力、支援、我が国の主権、安全、利益の発展に危害を及ぼす行為に対して、必要な反制裁措置をとる必要がある場合は、本法の関連規定を参照して執行する。
第十六条 本法は公布の日から施行する。
(中国語原文)
http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202106/d4a714d5813c4ad2ac54a5f0f78a5270.shtml