210615_中華人民共和国税関行政処罰事件処理手続規定(日本語試訳)

この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。

税関総署第250号令(「中華人民共和国税関行政処罰事件処理手続規定」の公布に関する令)

「中華人民共和国税関行政処罰事件処理手続規定」は2021年6月11日に税関総署の事務会議で審議・承認され、これにより公布され、2021年7月15日から実施される。税関総署令第145号は2006年1月26日に公布され、2014年3月13日税関総署令第218号により改正された「中華人民共和国税関行政処罰聴取弁法」、2007年3月2日税関総署令第159号により公布され、2014年3月13日税関総署令第218号により改正された「中華人民共和国税関行政処罰事件処理手続規定」、2010年3月1日税関総署令第188号により公布された「中華人民共和国税関行政処罰軽微事件手続規定」は同時に廃止された。

署長倪岳峰

2021年6月15日

中華人民共和国税関行政処罰事件処理手続規定

目次
第一章 総則
第二章 一般規定
第三章 事件調査
第四章 行政処理の決定
第一節 行政処罰の適用
第二節 法制審査
第三節 通知、再審査と聴取
第四節 処理決定
第五章 聴取手続
第一節 一般規定
第二節 聴取の申請と決定
第三節 聴取の開催
第六章 簡易手続と快速処理
第一節 簡易手続
第二節 快速処理
第七章 処理決定の執行
第八章 付則

第一章 総則

第一条 税関が行政処罰事件の処理手続を規範化させ、税関が効果的に行政管理の実施を保障し、監督し、公民、法人またはその他組織の正当な権益を保護するため、「中華人民共和国行政処罰法」「中華人民共和国行政強制法」「中華人民共和国税関法」「中華人民共和国税関行政処罰実施条例」(以下「税関行政処罰実施条例」という)及び関連法律、行政法規の規定により、本規定を制定する。

第二条 税関による行政処罰事件の処理手続は本規定を適用する。

第三条 税関による行政処罰事件の処理は公正、公開の原則を遵守し、処罰と教育を結合することを堅持しなければならない。

第四条 税関による行政処罰事件の処理は、少数民族が集まったり、または多民族が共同で居住したりする地区では、現地で通用する言語を使って調査し、問い合わせなければならない。
現地で通用する言語文字に精通していない当事者及び関係者には、翻訳者を提供しなければならない。

第五条 税関及びその職員は、行政処罰の実施において知りえた国家秘密、商業秘密、税関業務秘密または個人のプライバシーに対し、法律に従って漏らしてはならない。

第二章 一般規定

第六条 税関は行政処罰の立件根拠、実施手続及び救済ルート等の情報を公示しなければならない。

第七条 税関は法律に従って文字、音声・ビデオ等の形式で行政処罰の開始、調査、証拠収集、審査、決定、送達、執行等に対して全過程の記録を行い、保存しなければならない。

第八条 税関による行政処罰は行政法執行資格を有する税関法執行官(以下法執行官という)によって実施しなければならない。法執行官は法律に別段の定めがない限り、二人以上でなければならない。
法執行官は文明的に法を執行し、当事者の正当な権益を尊重し、保護しなければならない。

第九条 事件の処理過程において、当事者が代理人に委託する場合、授権依頼書を提出し、委託者及び代理人の基本情報、委託事項及び代理権限、代理権の開始日と終了日、委託日及び委託者の署名または押印しなければならない。
委託者が委託内容を変更し、または事前に委託を解除した場合、書面で税関に通知しなければならない。

第十条 税関行政処罰は違法行為を発見した税関の管轄下にあるものとし、違法行為が発生した税関の管轄下にある場合もある。
二つ以上の税関が管轄権を有する事件は、最初に立件した税関の管轄下にあるものとする。
管轄に対して紛争が発生した場合は、協議を通じて解決しなければならない、協議できない場合は、共同の上位レベルの税関指定管轄を申請する。または直接に共同の上位レベルの税関から指定して管轄することもできる。
重大かつ複雑な事件は税関総署が管轄を指定することができる。

第十一条 税関で発見された法律に従って他の行政機関または司法機関が処理しなければならない違法行為は、事件の移送状を作成し、適時に事件を関連行政機関または司法機関に移送して処理しなければならない。

第十二条 法執行官は下記のいずれか一つに該当する場合、自ら回避し、当事者及び代理人はその回避を申請する権利が有する。
(一)事件の当事者または当事者の近親者である場合
(二)本人またはその近親者が事件と直接利害関係がある場合
(三)事件とその他の関係があり、事件の公正な処理に影響を与える可能性がある場合

第十三条 法執行官が自ら回避する場合は、書面で申請し、その理由を説明し、税関の責任者が決定しなければならない。

第十四条 当事者及びその代理人が法執行官の回避を要求する場合は、申請を提出し、理由を説明しなければならない。当事者が口頭で申請した場合、税関は記録しなければならない。
税関は法律に従って当事者の回避申請を審査し、かつ三業務日以内に税関の責任者によって決定を下し、かつ書面で申請者に通知しなければならない。
税関が回避申請を却下した場合、当事者及び代理人は書面で通知を受領後の三業務日以内に、決定を下した税関に一度再審査を申請することができる。決定を下した税関は三業務日以内に再審査決定を行い、書面で申請者に通知しなければならない。

第十五条 法執行官は回避しなければならない状況を有し、本人が回避を申請しておらず、当事者及び代理人も回避を申請していない場合、その回避を決定する権限を有する税関の責任者は回避を命じることができる。

第十六条 税関が回避決定を下す前は、法執行官は行政処罰事件の処理を停止しない。回避決定を下す前に、法執行官が行う事件に関する活動が有効か否かは、回避決定を下す税関が事件の状況により決定する。

第十七条 聴取主宰者、記録員、試験、検査、検疫、技術鑑定人と翻訳者の回避は、本規定の第十二条から第十六条までの規定を適用する。

第十八条 税関が行政処罰事件の処理における証拠の種類は主に以下の通りである。
(一)書証
(二)物証
(三)視聴資料
(四)電子データ
(五)証人証言
(六)当事者の陳述
(七)鑑定意見
(八)監査調書、現場調書
証拠は必ず検証して事実であることを確認しなければならず、事件の事実を認定する根拠とすることができる。
暴力、脅迫、誘惑、詐欺及びその他の違法な手段で取得した証拠は、事件の事実を認定する根拠として利用してはならない。

第十九条 税関が収集した物証、書証は、原物、原本でなければならない。原物、原本の収集が難しい場合、原物、原本の内容または外形を反映するに十分な写真、ビデオ、複製品を撮影または複製することができる。また、原物、原本を適切に保管するために関連機関または個人を指定または委託することがでできる。
税関が物証、書証の原物、原本を収集する場合は、リストを作成し、収集した日付を明記し、関係機関または個人が確認して押印または署名しなければならない。
税関が関係機関または個人によって保管されている書証の原本の複製品、影印または写しを収集する場合、入手元と収集時間を明記し、提供機関または個人が確認して押印または署名しなければならない。
税関が関係機関または個人によって物証の原物の写真、ビデオを収集する場合、制作過程及び原物保管所に関する文字説明を添付し、また提供機関または個人が文字説明に押印または署名しなければならない。
提供機関または個人が押印または署名を拒絶する場合、法執行官はその旨を明記しなければならない。

第二十条 税関が電子データまたは録音、ビデオ等の視聴資料を収集する場合、元の媒体を収集しなければならない。
元の媒体の収集が難しい場合、関連する証拠を印刷、写真またはビデオ等の方法で固定し、関連するプロセス等の状況の文字説明を添付する。法執行官、電子データ保持者が署名し、保有者が署名できない、または署名を拒絶する場合、文字説明で明記しなければならない。複製品を収集して、製作方法、製作時間、制作者、証明対象及び元の媒体の保有者または保管所等を明記することもできるが、関係機関または個人が確認して押印または署名しなければならない。
税関が収集した電子データまたは録音、ビデオ等の視聴覚資料の複製品に対して証拠の変換を行うことができ、電子データが紙の資料に変換できる場合は適時に印刷し、録音資料に音声内容の文字記録を添付し、かつ関係機関または個人が確認して押印または署名しなければならない。

第二十一条 刑事事件を行政処罰事件に転じて処理する場合、刑事事件の処理過程で収集した証拠資料は、法律に従って収集、審査された後、行政処罰事件の決定の根拠として利用することができる。

第二十二条 期間は、時、日、月、年で計算する。期間開始の時と日は、期間内に計算されない。期間満了の最後の日が祝日の場合は、その後の最初の業務日を期間満了日とする。
期間は移動時間を含まず、法定の期限が切れる前に郵送した場合、期限が過ぎたとは見なされない。

第二十三条 当事者が不可抗力またはその他の正当な理由により期限を遅延した場合、障害が解消された後の十日間以内に税関に順延期限を申請することができ、承認するか否かは税関が決定する。

第二十四条 税関の法律文書の送達手続は、《中華人民共和国行政処罰法》と《中華人民共和国行政強制法》と本規定において明確ではない場合、《中華人民共和国民事訴訟法》の関連規定を適用する。

第二十五条 当事者またはその代理人の書面同意を経て、税関がファックス、電子メール、モバイル通信、インターネット通信等の方法で行政処罰決定書等の法律文書を送達することができる。
前項により送付されたものは、ファックス、電子メール、モバイル通信、インターネット通信等の方式で送達者特定システムに到達した日を送達日とする。

第二十六条 税関が当事者またはその代理人に書面で法律文書の送達住所を確認するよう要求することができる。
当事者及びその代理人が提供する送達住所は、郵便番号、詳細住所及び送達を受ける者の連絡電話または確認済の電子送達住所等を含むべきである。
税関が書面で住所確認書の記入要求と注意事項、及び虚偽住所または住所不正確を提供した場合の法律結果を通知し、かつ当事者またはその代理人により確認されなければならない。
当事者が送達住所を変更する場合は、書面で税関に通知しなければならない。当事者が書面で変更していない場合は、その確認された住所を送達住所とする。
当事者が提供した送達住所が不正確で、送達住所の変更が書面で税関に通知されていないため、法律文書が送達者に実際に受信されない場合、、直接送達された場合は、法律文書が当該住所に留まった日を送達日とする。郵送された場合は、法律文書が返送された日は送達日とする。

第二十七条 税関が法律文書を郵送する場合、回証(送達確認書)を添付し、かつ回証に明記された受領日を送達日としなければならない。回証が返送されていない場合は、書留状の領収書、照会書または郵送プロセス記録に記載されている受取日を送達日とする。

第二十八条 税関が法律に従って法律文書を送達し公告する場合、法律文書の正本を税関公告欄に掲示しなければならない。行政処罰決定書の公告を送達した場合、新聞または税関のポータルサイトに公告を掲載しなければならない。

第三章 事件調査

第二十九条 法律に従ってその場で行われる行政処罰を除いて、税関が公民、法人またはその他の組織が法律に従って税関から行政処罰を科す行為を発見した場合、全面的、客観的、公正に調査し、関連証拠を収集しなければならない。必要に応じて、法律、行政法規の規定に従って、検査を行うことができる。立件の基準に該当する場合、税関は適時に立件しなければならない。

第三十条 法執行官は調査または検査を行う時、自発的に当事者または関係者に法律執行証明書を提示しなければならない。
当事者または関係者は、法執行官に対し、法律執行証明書の提示を要求する権利を有する。法執行官が法律執行証明書を提示しない場合、当事者または関係者は調査または検査を拒絶する権利を有する。
当事者または関係者は税関調査または検査に助力し、協力しなければならず、拒絶または妨害してはならない。

第三十一条 法執行官が違法容疑者を取調べ、証人に尋問する場合は個別に行い、かつ法律に従って享受できる権利、虚偽の証明により負うべき法律責任を通知しなければならない。
違法容疑者、証人は事実を陳述し、証拠を提供しなければならない。

第三十二条 法執行官は違法容疑者の取調において、その所在組織または住所で行うか、税関または指定された場所で行うように要求することができる。
法執行官が証人を尋問する場合、その所在組織、住所またはその提起された場所で行うことができる。必要に応じて、証人に税関または指定された場所を通知することもできる。

第三十三条 取調べ、尋問は、取調べ、尋問調書を作成しなければならない。
取調べ、尋問調書に記載されている項目は、規則に従って記入し、取調べの開始と終了の時間を明記しなければならない。法執行官は取調べ、尋問調書に署名しなければならない。
取調べ、尋問調書はその場で取調べされた者、尋問された者に渡し、照合または読み上げなければならない。取調べされた者、尋問された者が照合した後、取調べ、尋問調書には、ページごとに署名または押印しなければならない。署名または押印を拒絶した場合、法執行官は取調べ、尋問調書に明記しなければならない。記録に誤りまたは遺漏がある場合は、取調べされた者、尋問された者が訂正または補充を承認し、かつ訂正または補足の箇所に署名または押印しなければならない。

第三十四条 聴覚障害者を取調べ、尋問する場合、聴覚障害者の手話に精通している者が通訳者として参加し、しかも調書には取調べされた者、尋問された者の聴覚障害の状況を明記しなければならない。
中国語または中国の文字に精通していない外国人、国籍のない者を取調べ、尋問する場合、翻訳者が提供されなければならない。取調べされた者、尋問された者が中国語と中国の文字に精通していて、通訳者を提供する必要がない場合、書面による言明を発行し、法執行官は取調べ、尋問調書に明記しなければならない。
通訳者の氏名、勤務先、職業は、取調べ、尋問調書に明記しなければならない。通訳者は取調べ、尋問調書に署名しなければならない。

第三十五条 税関が初めて違法容疑者を取調べ、証人を尋問するときは、違法容疑者、証人の氏名、生年月日、戸籍所在地、現住所、身分証明書の種類及び番号、勤務先、教育レベル、刑事処罰を前科があるか否か、または行政機関による行政処罰の履歴があるか否か等の状況を確認しなければならない。必要に応じて、家族の主要メンバー等についても確認しなければならない。
違法容疑者または証人が十八歳未満の場合は、取調べ、尋問する場合、法律に従ってその法定代理人またはその成年家族、所属する学校の代表等の適切な成人が来場するように通知し、かつ適切な方法を講じて適切な場所で行い、未成年の名誉権、プライバシー権及びその他の正当な権益を保障しなければならない。

第三十六条 取調べされた者、尋問された者が自ら書面による陳述資料の提供を要求する場合、承認しなければならない。必要に応じて、法執行官は、取調べされた者、尋問された者に対しても、自ら陳述を書くように要求することができる。
取調べされた者、尋問された者が、自ら書面による陳述資料を提供する場合、陳述資料に署名し、陳述の時間、場所、陳述人等を明記しなければならない。法執行官は書面による陳述を受領後、受領時間を明記し、署名して確認しなければならない。

第三十七条 法執行官は、違法容疑者、証人の陳述を十分に聴取し、かつ事実に忠実に記録しなければならない。

第三十八条 法執行官は法律に従って運搬器具と場所を調査し、貨物、物品を検査し、調査、検査記録を作成しなければならない。
調査、検査記録は法執行官、当事者またはその代理人が署名または押印しなければならない。当事者またはその代理人が不在、または署名または押印を拒絶した場合、法執行官は調査、検査記録に明記し、かつ証人が署名または押印しなければならない。

第三十九条 法執行官は法律に従って密輸容疑者の身体を検査し、隠蔽された場所または非検査員が注意している場所の外に対して、二名以上の被検査者と同性別の法執行官によって執行され、かつ身体検査記録を作成しなければならない。
密輸容疑者の身体検査は医師の協力で行うことができ、必要に応じて医療機関で検査することができる。
身体検査記録は法執行官、被検査者が署名または押印しなければならない。被検査者が署名または押印を拒絶した場合、法執行官は身体検査記録に明記しなければならない。

第四十条 事実を解明し、または証拠を固定するために、税関または税関が法律に従って委託した組織はサンプルを抽出することができる。
サンプルを抽出する場合、当事者またはその代理人は出頭しなければならない。当事者またはその代理人が出頭していない場合、税関は証人を招いて出頭させなければならない。税関は必要に応じて、直接サンプルを抽出することができる。
抽出したサンプルは封をして確認し、サンプル記録を作成し、法執行官または税関が法律に従って委託した組織人員、当事者またはその代理人、証人が署名または押印しなければならない。

第四十一条 税関または税関が法律に従って委託した組織が抽出したサンプルは一回二つ以上でなければならない。サンプルの個数及び各サンプルの量は事件の処理需要を満たすことができる範囲に限定される。

第四十二条 事実を明確にするために、事件中の特定の事項を調査、検査、検疫、技術鑑定する必要がある場合は、税関または税関が法律に従って委託する組織により実施しなければならない。

第四十三条 調査、検査、検疫、技術鑑定の結果は委託者と委託事項、根拠と結論を明記しなければならない。そして調査、検査、検疫、技術鑑定人の署名と税関または税関が法律に従って委託する組織が押印しなければならない。
調査、検査、検疫、技術検定の費用は税関が負担する。

第四十四条 調査、検査、検疫、技術鑑定の結果は当事者に通知しなければならない。

第四十五条 密輸事件を調査する際に、法執行官は照会事件の容疑組織を調査し、容疑者が金融機関、郵便企業に有する預金、送金について照会する場合、直属の税関長またはその授権された配下の税関長の承認を得なければならない。
法執行官が照会する際は、自発的に当事者または関係者に法律執行証明書と税関照会通知書を提示しなければならない。

第四十六条 税関が差押を実施する場合は、次の規定を遵守しなければならない。
(一)実施前に税関の責任者に報告し、承認されなければならないが、「中華人民共和国税関法」第六条第四項により実施した差押は、直属の税関長またはその授権された配下の税関長の承認を得なければならない。
(二)二名以上の法執行官によって実施
(三)法執行証明書の提示
(四)当事者に出頭を通知
(五)その場で当事者に差押の理由、根拠及び当事者が法律に従って享有する権利、救済ルートを通知
(六)当事者の陳述と弁護を聴取
(七)現場調書の作成
(八)現場調書は当事者と法執行官が署名または押印し、当事者が拒絶した場合、調書に明記が必要
(九)当事者が現場に出頭しない場合、証人を招ねいて出頭させ、証人と法執行官により現場調書に署名または押印が必要
(十)法律、行政法規に規定されたその他の手続
税関が法律に従って貨物、物品、運搬器具、その他の財産及び帳簿、書類等の資料を差押え、税関の封印を加えることができる。

第四十七条 税関が法律に従って差押えた貨物、物品、運搬器具は、人民裁判所の判決または税関の行政処罰の決定が下される前に、処理してはならない。しかしながら、危険品または生鮮品、腐敗しやすい、故障しやすい、変質しやすい等の長期保存に適さない貨物、物品及び所有者が換金売却を申請した貨物、物品、運搬器具は、直属の税関長の承認を得て、先に法律に従って売却することができ、売却所得は税関によって保有する。法律、行政法規の規定に従って、返品、廃棄、無害化処理等の措置を取らなければならない貨物、物品は、法律に従って先に処分することができる。
税関が換金売却する前に、換金売却された貨物、物品、運搬器具の所有者に通知しなければならない。換金売却前に直ちに通知できない場合、税関が貨物、物品、運搬器具を換金売却した後、その所有者に通知しなければならない。

第四十八条 税関が法律に従って貨物、物品、運搬器具、その他の財産及び関連帳簿、書類等の資料に対する差押えを解除する場合、差押解除通知書を発行して当事者に送付しなければならない。差押解除通知書は、法執行官、当事者またはその代理人が署名または押印しなければならない。当事者またはその代理人が不在で、または当事者、代理人が署名または押印を拒絶した場合、法執行官は差押解除通知書に明記し、かつ証人が署名または押印しなければならない。

第四十九条 違法の疑いがある貨物、物品、運搬器具は税関に法律に従って差押えられなければならない場合、または差押された場合、当事者は税関に保証を提供し、差押の免除または差押解除を申請することができる。
違反の疑いがある貨物、物品、運搬器具を差押えることが不可能または不都合がある場合、当事者または運搬器具の責任者は税関に対して同等の保証を提供しなければならない。

第五十条 当事者または運搬器具責任者が税関に保証を提供する場合、法執行官は保証受領書を作成し、かつ当事者または運搬器具責任者に送達し、法執行官、当事者、運搬器具責任者またはその代理人は保証受領書に署名または押印しなければならない。
保証を受領した後、関連貨物、物品、運搬器具の写真または映像保管を行うことができる。

第五十一条 税関が法律に従って保証を解除した場合、保証解除通知書を作成して当事者または運搬器具責任者に送付しなければならない。保証解除通知書は、法執行官及び当事者、運搬器具責任者またはその代理人が署名または押印する。当事者、運搬器具責任者またはその代理人が不在または署名または押印を拒絶した場合、法執行官は保証解除通知書に明記しなければならない。

第五十二条 税関が法律に従って密輸容疑者に対して人身拘留を実施する場合、「中華人民共和国税関人身拘留実施規定」に規定された手続に従って処理する。

第五十三条 調査の結果、行政処罰事件に、下記のいずれか一つが該当する場合、税関は調査を終了し、処理意見を提出することができる。
(一)違法事実が明確で、法律手続が整っており、定性的処罰の証拠が十分である場合
(二)違法事実が成立しない場合
(三)当事者である自然人が死亡した場合
(四)当事者としての法人またはその他の組織が終結し、法人またはその他の組織がその権利義務を負うことができず、またはその他の関係者を追跡できない場合
(五)事件が他の行政機関または司法機関に移送された場合
(六)法律に従って調査を終了しなければならないその他の状況

第四章 行政処理の決定

第一節 行政処罰の適用

第五十四条 14歳未満の未成年者は違法行為をした場合、行政処罰は科されないが、保護者にしつけを命じなければならない。満14歳で18歳未満の未成年者が違法行為をした場合は、行政処罰は軽くまたは軽減しなければならない。

第五十五条 精神障害者、知的障害者は、自分の行為を識別、または制御できない場合に、違法行為をした場合、行政処罰は科されないが、保護者は厳格なケアと治療を受けるように命じなければならない。断続的な精神障害者が精神正常時に違法行為をした場合、行政処罰を科されなければならない。自分の行動能力を認識または制御していない精神病者、知的障害者が違法行為をした場合は、行政処罰を軽くまたは軽減することができる。

第五十六条 違法行為が、軽微でかつ適時に是正され、有害な結果をもたらさなかった場合、行政処罰は科されない。初回の違法で有害な結果が、軽微でかつ適時に改正された場合、行政処罰は科されないことができる。
当事者の違法行為に対して法律に従って行政処罰は科されない場合、税関が当事者を教育しなければならない。

第五十七条 当事者に主観的過失がないことを証明する十分な証拠がある場合、行政処罰は科されない。法律、行政法規に別段の規定がある場合は、その規定に従うものとする。

第五十八条 当事者が下記のいずれか一つに該当する場合、行政処罰を軽くまたは軽減しなければならない。
(一)自発的に違法行為の有害な結果を排除または軽減した場合
(二)他人に脅迫され、または詐欺に誘導され、違法行為を実施した場合
(三)税関がまだ把握していない違法行為を自発的に供述した場合
(四)税関の検査と処罰の違法行為に協力して功労を立てた場合
(五)法律、行政法規、税関規則に規定されているその他により行政処罰を軽くまたは軽減しなければならない場合
当事者は積極的に税関の調査に協力し、処罰を認め、または違法行為による有害な結果が比較的軽い場合、処罰を軽くまたは軽減することができる。

第五十九条 重大な感染症の流行等の突発事件が発生した場合、突発事件による社会的危害を制御、軽減、排除するため、税関が突発事件に対する対応措置の違反行為に対して、法律に従って迅速かつ厳重な処罰は科される。

第六十条 違法行為が二年以内に発見されなかった場合、行政処罰は科されない。公民の生命、健康、安全、金融の安全及び危害の結果を及ばす場合、上記の期限は五年まで延長される。法律に別段の規定がある場合を除く。
前項で規定した期限は、違法行為が発生した日から計算する。違法行為に連続または継続する状態がある場合、行為の終了日から計算する。

第六十一条 行政処罰を実施する場合、違法行為が発生した時点での法律、行政法規、税関規則の規定を適用する。しかし、行政処罰の決定を下す時点で、法律、行政法規、税関規則がすでに改正、または廃止され、かつ、新しい規定では処罰が軽微または違法とは見なされない場合、新しい規定を適用する。

第六十二条 税関が法律に従って行政処罰の裁量基準を制定し、行政処罰の裁量権の行使を規範化することができる。行政処罰の裁量基準は社会に公布しなければならない。

第二節 法制審査

第六十三条 税関がすでに調査終了した行政処罰通常手続事件に対しては、行政処罰決定に従事する法制審査者が法制審査を行わなければならない。法制審査または審査を経ていない場合、処理決定は下されない。但し、本規定の第六章第二節に従っての快速処理される事件を除く。
税関で初めて行政処罰決定の法制審査に従事する者は、国家統一法律職業資格試験を通じて法律職業資格を取得しなければならない。

第六十四条 税関は行政処罰事件に対して法制審査を行う場合、以下の内容を重点的に審査し、審査意見を提出しなければならない。
(一)法律執行主体は合法か否か
(二)法執行官は法律執行資格を具備しているか
(三)法律執行手続は合法か否か
(四)事件の事実が明確か否か、証拠が適法で十分か否か
(五)法律、行政法規、税関規則等の適用は正確か否か
(六)自由裁量権の行使は適切か否か
(七)法定権限を超えているか否か
(八)法律文書が完全で、規範化されているか否か?
(九)違法行為は法律に従って他の行政機関または司法機関に移送して処理しているか否か

第六十五条 審査を経て問題がある場合、法制審査員は処理意見を提出し、調査部門に返却しなければならない。
本規定の第六十四条第五項、第六項の規定のみ問題がある場合、法制審査員は直接処理意見を提出し、本章第三節、第四節の規定に従って処理決定を行うことができる。

第三節 通知、再審査と聴取

第六十六条 税関が行政処罰の決定または行政処罰を科さない決定を下す前に、当事者に行政処罰または行政処罰を科さない内容及び事実、理由、根拠を通知し、かつ当事者が法律に従って享受する陳述、弁護、聴取を要求する等の権利を通知しなければならない。
税関が前項の規定に従って通知義務を履行していない、または当事者の陳述、弁護を拒絶した場合、行政処罰を科す決定または行政処罰を科さない決定を下すことはできない。
通知義務を履行する場合、税関が行政処罰通知書、または行政不処罰通知書を発行し、当事者に送付しなければならない。

第六十七条 当事者は、陳述と弁護を行う権利を有する。
不可抗力または税関によって承認されたその他の正当な理由を除き、当事者は行政処罰の受入、または行政不処罰通知書の受領日から五業務日以内に書面で陳述、弁護、聴取を要求しなければならない。期限が経過した場合、陳述、弁護、聴取を要求する権利を放棄したもの見なされる。
当事者がその場で口頭による陳述、弁護または聴取を要求する場合、税関は書面記録を作成し、かつ当事者が署名または押印して確認しなければならない。
当事者が明確に陳述、弁護及び聴取権利を放棄した場合、税関は直接行政処罰を科す、または行政処罰を科さないことを決定を下すことができる。当事者が、陳述、弁護及び聴取権利の放棄する場合、書面記録を作成し、かつ当事者またはその代理人が署名または押印して確認しなければならない。

第六十八条 税関は当事者の陳述、弁護及び聴取意見を十分に聴取し、当事者が提出した事実、理由及び証拠に対して、再審査を行わなければならない。当事者が提出した事実、理由、証拠または意見が成立した場合、税関は採用しなければならない。

第六十九条 税関が、当事者の陳述、弁護、聴取を要求することにより、より重い処罰を科してはならない。ただし、税関が新しい違法事実を発見した場合を除く。

第七十条 再審査後、最初に通知された行政処罰、または行政不処罰の内容及び事実、理由、根拠を変更した場合、改めて税関行政処罰通知書、または行政不処罰通知書を再作成し、再発行しなければならず、かつ、本規定第六十六条から第六十九条の規定に従って処理しなければならない。
再審査後、最初に通知された行政処罰または行政不処罰の内容及び事実、理由、根拠を維持する場合、本章第四節の規定に従って処理を決定するものとする。

第四節 処理決定

第七十一条 税関責任者は行政処罰事件を審査し、状況により、それぞれ以下の決定を下さなければならない。
(一)行政処罰の対象となる違法行為がある場合、情状の軽重及び具体的な状況により、行政処罰の決定を下す。
(二)本規定の第五十四条から第五十六条に規定された行政処罰を科さない状況のいずれか一つに該当する場合、行政処罰を科さない決定を下す。
(三)本規定の第五十三条第二項の規定に該当する場合、行政処罰を科さず、事件を取り消す。
(四)本規定の第五十三条第三項、第四項の規程のいずれか一つに該当する場合、事件を取り消す。
(五)法定接収条件に該当する場合、接収する。
(六)その他の行政機関または司法機関によって処理しなければならない場合、関連行政機関または司法機関に移送して法律に従って処理しなければならない。
税関が行政処罰の決定を下す場合、違法事実が明確であり、確定証拠が十分であり、違法行為の決定が正確であり、法律の適用が正しく、事件の手続は合法であり、処罰は合理的で適切であることが認定されなければならない。
違法事実が明確でなく、証拠が不足する場合、行政処罰を科さしてはならない。

第七十二条 事情が複雑または重大な違法行為に対して行政処罰を科す場合、税関の責任者の集団合議によって決定しなければならない。

第七十三条 税関が法律に従って行政処罰を下し、または行政処罰を科さない決定を下した場合は、行政処罰決定書、または行政不処罰決定書を作成し、発行しなければならない。

第七十四条 行政処罰決定書は以下の内容を明記しなければならない。
(一)当事者の基本状況、当事者の氏名、または名称、住所等を含む
(二)法律、行政法規、税関規則に違反した事実と証拠
(三)行政処罰の種類と根拠
(四)行政処罰の履行方式と期限
(五)行政再審議を申請し、または行政訴訟を提起する方法と期限。
(六)行政処罰の決定を下す税関の名称と決定された日付、及び行政処罰の決定を下す税関の印章の押印

第七十五条 行政不処罰決定書は以下の内容を明記しなければならない。
(一)当事者の基本状況、当事者の氏名または名称、住所等を含む
(二)法律、行政法規、税関規則に違反した事実と証拠
(三)行政処罰を科さない根拠
(四)行政再審議を申請し、または行政訴訟を提起するルートと期限
(五)行政処罰を科さない決定を下す税関の名称と決定された日付、行政処罰を科さない決定をした税関の印章の押印

第七十六条 税関は行政処罰事件立件の日から六ヶ月以内に行政処罰決定を下さなければならない。必要がある場合、税関の担当者の承認を得て、期限を延長することができるが、延長は六ヶ月を超えてはならない。事件の状況が特に複雑で、またはその他の特殊な事情があり、期限を延長してもまだ処理決定をすることができない場合、直属の税関の責任者の集合合議により、期限を延長するか否かを決定し、期限を延長させることを決定した場合、同時に延長の合理的な期限を確定しなければならない。
上記の期間は公告、調査、検査、検疫、技術鑑定、再審議、訴訟の期間を含まない。
事件の処理期間中に、当事者に別の違法行為があったことが判明した場合、発見の日から改めて期限を計算する。

第七十七条 行政処罰決定書は、宣言後、その場で当事者に交付しなければならない。当事者が不在の場合、税関は七業務日以内に行政処罰決定書を当事者に送付しなければならない。

第七十八条 一定の社会的影響を有する行政処罰決定については、税関は法律に従って公開しなければならない。
公開された行政処罰決定が法律に従って変更され、取消され、違法または無効が確認された場合、税関は三業務日以内に行政処罰決定情報を取り下げ、その理由を公開して説明しなければならない。

第七十九条 税関が法律に従って関連貨物、物品、違法所得、運搬器具、特別設備を接収する場合、接収リストを作成し、そして被接収者に送付しなければならない。
密輸が違法であることは基本的に明確であるが、当事者が調べられない事件については、税関が接収リストを作成する前に、接収公告を作成し、公告期限は三ヶ月とし、また関係当事者に公告期限内に指定税関に関連税関手続を処理するよう命じなければならない。公告期限が満了となっても、当事者が税関に赴き関連税関の手続を処理していない場合、税関が法律に従って接収することができる。

第八十条 接収リストは、接収する貨物、物品、違法所得、運搬器具、特別設備の名称、規格、数量または重量等を明記しなければならない。関連貨物、物品、運搬器具、特別設備が重要、明確な特徴または瑕疵がある場合、法執行官は接収リストに明記しなければならない。

第八十一条 接収リストは、法執行官、被接収者またはその代理人が署名または押印する。
被接収者またはその代理人が署名または押印を拒絶し、または被接収者を調べらることができないが、証人がいる場合は、証人が署名または押印しなければならない。
被接収者が署名または押印されていない場合、法執行官は接収リストに原因を明記しなければならない。
税関は密輸に対して違法な事実が基本的に明確であるが、当事者を調べることができない事件によって作成・発行された接収リストは公告して送達しなければならない。

第五章 聴取手続

第一節 一般規定

第八十二条 税関が下記の行政処罰の決定をする場合、当事者に聴取を要求する権利があることを通知し、当事者が聴取を要求する場合、税関は聴取を開催しなければならない。
(一)公民に対して一万元以上の罰金を科し、法人または他の組織に対して十万元以上の罰金を科す場合
(二)公民に対して一万元以上の違法所得を没収し、法人または他の組織に対して十万元以上の違法所得を没収する場合
(三)関連貨物、物品、密輸運送道具の没収
(四)資格等級を下げ、許可証の取消
(五)生産と事業の停止、閉店、雇用制限の命令
(六)その他の厳重な行政処罰
(七)法律、行政法規、税関規定に規定されたその他の状況
当事者は聴取を開催する費用を負担しない。

第八十三条 聴取は税関が行政処罰事件の法制審査を担当する部門によって開催する。

第八十四条 聴取は税関が指定した非本件調査員が主宰しなければならない。聴取主宰者は次の職権を履行する。
(一)聴取の延期、中止の決定
(二)事件の事実、行政処罰を下す根拠と理由についての質問
(三)聴取参加者に証拠提供または補充の要求
(四)聴取手続を主宰し、聴取秩序を維持し、聴取規律に違反する行為を制止
(五)関係証人、調査、検査、検疫、技術鑑定人が聴取に参加するか否かの決定

第八十五条 聴取参加者は、当事者及びその代理人、第三者及びその代理人、事件調査員を含む。他の人員は証人、翻訳者、調査、検査、検疫、技術鑑定人を含む。

第八十六条 事件の処理結果と直接利害関係がある公民、法人またはその他の組織が聴取に参加することを要求した場合、第三者として聴取に参加することができる。事件の状況を明確するために、必要に応じて、聴取主催者も聴取への参加を通知することができる。

第八十七条 当事者、第三者は、一から二名の代理人に聴取への参加するよう依頼することができる。

第八十八条 事件調査員とは、税関による行政処罰事件の調査及び証拠収集を担当し、また聴取に参加する法執行官をいう。
聴取の過程で、事件調査員は当事者の違法な事実、証拠、予定されている行政処罰決定及びその法律根拠を述べ、そして当事者と尋問し、弁論を行う。

第八十九条 聴取主宰者の同意を得て、当事者及びその代理人、第三者及びその代理人、事件調査員は証人、調査、検査、検疫、技術鑑定人に聴取への参加を要求することができ、そして聴取を開催する一業務日の前に関係者の基本状況を提供する。

第二節 聴取の申請と決定

第九十条 当事者が聴取を要求する場合は、税関がその聴取権を通知した日から五業務日以内に税関に提起しなければならない。

第九十一条 税関が聴取を開催すると決定した場合は、聴取の申請を受領日から二十業務日以内に聴取を開催し、かつ聴取を開催する七業務日前に聴取の時間、場所を参加者とその他の人員に通知しなければならない。

第九十二条 下記のいずれか一つに該当する場合、税関が聴取を開催しない決定をしなければならない。
(一) 申請者が、本件の当事者またはその代理人ではない場合
(二)行政処罰通知書の受領日から五業務日以内に聴取を要求していない場合
(三)本規定の第八十二条に規定された範囲に属さない場合
聴取開催をしないと決定した場合、税関が聴取の申請の受領日から三業務日以内に税関行政処罰聴取不開催通知書を作成し、適時に申請者に送達しなければならない。

第三節 聴取の開催

第九十三条 聴取参加者及びその他の人員は以下の聴取規律を遵守しなければならない。
(一)聴取参加者及びその他の人員は聴取秩序を遵守し、聴取主宰者の同意を得てから、陳述と弁論を行うことができる。
(二)傍聴者は聴取の正常な進行に影響を与えないものとする。
(三)録音、ビデオ、撮影とインタビューを準備する場合は、事前に聴取主宰者の承認を得なければならない。

第九十四条 聴取は次の手続に従って行わなければならない。
(一)聴取主宰者は、当事者及びその代理人、第三者及びその代理人、事件調査員の身分を確認する。
(二)聴取主宰者は、聴取参加者、翻訳者、調査、検査、検疫、技術鑑定人のリストを発表し、当事者及びその代理人、第三者及びその代理人、事件調査員が回避を申請するか否かを確認する。
(三)聴取規律を宣言する。
(四)聴取主宰者が聴取開始を発表し、事件を紹介する。
(五)事件調査員は当事者の違法事実を陳述し、関連証拠を提示し、予定されている行政処罰の決定と根拠を提出する。
(六)当事者及びその代理人は陳述、弁論、意見と主張を提出する。
(七)第三者及びその代理人が陳述、意見と主張を提出する。
(八)聴取主宰者は事件の事実、証拠、処罰根拠について質問する。
(九)当事者及びその代理人、第三者及びその代理人、事件調査員の相互に尋問し、弁論する。
(十)当事者及びその代理人、第三者及びその代理人、事件調査員は最後に陳述する。
(十一)聴取終了を宣言する。

第九十五条 下記のいずれか一つに該当する場合、聴取の開催を延期しなければならない。
(一)当事者またはその代理人が不可抗力またはその他の正当な理由により来場できない場合。
(二)聴取主宰者、聴取員または記録員の回避が臨時決定され、その場で候補者を決定することができない場合。
(三)当事者の法人または他の組織として合併、分割またはその他の企業再編の状況があり、権利義務の承継者を待つ必要がある場合。
(四)その他法律に従って、聴取の開催を延期しなければならない状況がある場合。
聴取の開催を延期する原因が解消された後、聴取主宰者が改めて聴取の開催時期を確定し、聴取を開催する三業務日前に書面で聴取参加者及びその他の人員に通知する。

第九十六条 下記のいずれか一つに該当する場合、聴取の開催を中止しなければならない。
(一)新しい証人の来場を通知する必要がある場合、または再調査、検査、検疫、技術鑑定、証拠を補充する必要がある場合。
(二)当事者が不可抗力またはその他の正当な理由で一時的に聴取に参加できない場合。
(三)聴取参加者及びその他の人員が聴取規律を遵守せず、会場の秩序に混乱を引き起した場合。
(四)その他の法律に従って聴取の開催を中止しなければならない状況がある場合。
聴取の開催を中止した原因が解消された後、聴取主宰者が聴取の開催時期を確定し、聴取を開催する三業務日前に書面で聴取参加者及びその他の人員に通知する。

第九十七条 下記のいずれか一つに該当する場合、聴取の開催を中止しなければならない。
(一)当事者及びその代理人が聴取申請を撤回した場合。
(二)当事者及びその代理人が正当な理由なく聴取への参加を拒絶した場合。
(三)当事者及びその代理人が承認を得ずに途中で退出した場合。
(四)当事者が死亡した場合、または当事者の法人、その他の組織が結了し、権利と義務の後継者がいない場合。
(五)その他の法律に従って聴証の開催を終了しなければならない状況がある場合。

第九十八条 聴取は調書を作成しなければならない、聴取調書は下記の事項を明記しなければならない。
(一)事件の概要
(二)聴取参加者及びその他の人員の氏名または名称
(三)聴取主宰者、聴取員、記録員の氏名
(四)聴取を開催する時期、場所と方法
(五)事件調査員が提出した本件の事実、証拠及び予定されている行政処罰の決定及びその根拠
(六)陳述、弁論及び質証の内容
(七)証人の証言
(八)規定に従って明記しなければならないその他の事項

第九十九条 聴取調書は、聴取参加者及びその他の人員によって確認され、ページごとに署名または押印しなければならない。記録内容に異議がある場合は、その場で訂正し、署名または押印して確認することができる。
聴取参加者及び他の者が署名または押印を拒絶した場合は、聴取主宰者が聴取調書に明記しなければならない。

第百条 聴取の終了後、税関は証書調書により、本規定の第六十八条から第七十二条の規定に従って再審査し、決定を下さなければならない。

第六章 簡易手続と快速処理

第一節 簡易手続

第百一条 違法事実が確実で法的根拠があり、公民に対して二百元以下、法人または他の組織に三千元以下の罰金または警告の行政処罰を科す場合、税関が簡易手続を適用してその場で行政処罰決定を下すことができる。

第百二条 法執行官はその場で行政処罰決定を下す場合、当事者に法律執行証明書を提示し、所定の書式で採番した行政処罰決定書を記入し、その場で当事者に引き渡しなければならない。当事者が署名を拒絶する場合、行政処罰決定書に明記しなければならない。
前項に規定された行政処罰決定書は、当事者の違法行為、行政処罰の種類と根拠、罰金額、時間、場所、行政再審議の申請、行政訴訟の提起の方法と期限及び税関名称を記載し、かつ、法執行官が署名または押印しなければならない。
法執行官がその場でした行政処罰決定は、所属税関に報告して備案しなければならない。

第二節 快速処理

第百三条 簡易手続は適用されないが、事実が明確であり、当事者が書面で申請し、自主的に誤りを認め、処罰を受け入れ、その他の証拠によって証明される行政処罰事件は、下記のいずれか一つに該当する場合、税関による証拠の受け取り、審査、承認等の手続きを簡略化し、快速処理事件とすることができる。
(一)「税関行政処罰実施条例」の第十五条第一項、第二項の規定を適用して処理する場合。
(二)税関申告企業、税関申告担当者が委託者に提供した情報の真実性について合理的な審査を行われていない、または業務の怠慢により、「税関行政処罰実施条例」第十五条第一項、第二項の規定する状況が発生した場合。
(三)「税関行政処罰実施条例」の第二十条から第二十三条の規定を適用して処理する場合。
(四)税関の監督管理規定に違反して通貨を国内に持ち込み、国外に持ち出した場合
(五)旅行検査ゲートで密輸品、物品価値が五万元以下のものを押収した場合。
(六)その他の税関監督管理規定に違反事件の貨物価値が五十万元以下または物品価値が十万元以下である場合、但し国家の輸出税金還付管理事件の貨物申告価格が五十万元以上である場合を除く。
(七)法律、行政法規、税関規則規定により、警告、最高三万元以下の罰金を科せられる場合。
(八)税関総署が規定するその他の状況がある場合。

第百四条 行政処罰事件を快速処理し、当事者が自ら資料を書き、または取調べ調書、違法事実を認め、処罰を認めるとともに、調査、検査記録、鑑定意見等の重要な証拠が相互に検証できる場合、税関は他の調査検証業務を行わなくても差支えない。
法律執行機関の録音機等の設備を使って当事者の陳述または税関の取調べ過程を録音し、録画する場合、録音、録画は当事者が自分で資料を記載し、または調書取調べに替えることができる。必要に応じて、税関が録音、録音の主要な内容及び対応する時間について文字で説明することができる。

第百五条 税関が行政処罰事件を快速処理する場合、立件提起日から七業務日以内に行政処罰決定書、または行政不処罰決定書を発行しなければならない。

第百六条 快速処理する行政処罰事件が下記のいずれか一つに該当する場合、税関は本規定の第三章から第五章の規定に従って処理し、当事者に通知しなければならない。
(一)税関が当事者に提出した陳述、弁明意見はその場で再審査できない場合。
(二)税関がその場で再審査した後、当事者が税関の再審査意見に対して依然として不服である場合。
(三)当事者が聴取を要求する場合。
(四)税関は違法事実がさらに調査して証拠収集する必要がある場合。
(五)その他の快速処理が適用されない状況。
快速処理段階で法律に従って収集した証拠は、訴訟決定の根拠として使用することができる。

第七章 処理決定の執行

第百七条 税関が行政処罰決定を下した後、当事者は行政処罰決定書に明記された期限内に履行しなければならない。
税関が罰金を決定した場合、当事者は行政処罰決定書を受領した日から十五日以内に指定の銀行または電子決済システムを通じて罰金を納めなければならない。

第百八条 当事者に経済的困難があり、税関に罰金の延期または分納を提起する場合、書面で申請しなければならない。
税関は当事者から罰金の延期、分納の申請を受領後、十業務日以内に罰金の延期、分納を承認するか否かの決定をし、通知書を申請者に発行しなければならない。

第百九条 当事者が期限内に行政処罰の決定を履行しない場合、税関が次の措置を取ることができる。
(一)期限が到来し罰金を納めない場合、罰金額の3%を日々加算して追加罰金を課す。但し、追加罰金の額は罰金の額を超えない。。
(二)当事者が期限内に、税関の処罰決定を履行しない、または再審議を申請しないまたは人民裁判所に訴訟を提起した場合、税関がその保証金と相殺するか,または差押された貨物、物品、運搬器具を法律に従って価格を変えて支払うか、または人民裁判所の強制執行を申請することができる。
(三)法律の規定により、他の行政強制執行方法を採用する。

第百十条 税関の処罰を受ける当事者またはその法定代表者、主要責任者が、出国前に罰金、違法所得及び法律に従って追納された貨物、物品、密輸運送道具等の同等額を完納していない場合、税関に上記の金額に相当する担保を提供していない場合、税関が法律に従って出国阻止協力書を作成し、出国管理機関にその出国を阻止するよう通知することができる。
出国阻止協力書は行政処罰決定書等の関連法律文書を添付し、出国を阻止する者の氏名、性別、出生日、出入国証明書の種類と番号を明記しなければならない。出国を阻止する者が外国人、無国籍者の場合は、は英語の氏名を明記しなければならない。

第百一十一条 当事者またはその法定代表者、主要責任者が、罰金、違法所得及び法律に従って追納した貨物、物品、密輸運搬器具等の同等額の代金を完納した場合、または税関に上記の金額に相当する保証を提供する場合、税関はすみやかに出国阻止協力解除書を作成して出国管理機関に通知しなければならない。

第百十二条 当事者が保証金を支払う、または当事者が差押された貨物、物品、運搬器具を法律に従って換金売却し罰金を支払った後も残りがある場合、即時に返却し、または差押を解除し、保証を解除しなければならない。

第百十三条 税関が差押解除通知書を送達した日から三ヶ月以内に、当事者が正当な理由なく税関に関連貨物、物品、運搬器具またはその他の財産の返却手続を処理していない場合、税関は公告を公布しなければならない。
公告が公布された日から三十日以内に、当事者がまだ返却手続を処理していない場合、税関が法律に従って関連貨物、物品、運搬器具またはその他の財産を換金売却、売却し、かつ換金売却金を保留することができる。
換金売却金は税関から差押解除通知書が送達日から計算した倉庫保管等の関連費用を差し引いた後、まだ残金がある場合、税関公告が公布された日から一年間、当事者はまだ返却手続を処理していない場合、税関が残金を国庫に納めなければならない。
換金売却されていない貨物、物品、運搬器具またはその他の財産は、税関公告の公布された日から一年間、当事者がまだ返却手続を処理していない場合、税関が法律に従って処理する。

第百十四条 税関が保証解除通知書を送達した日から三ヶ月以内に、当事者が正当な理由なく財産、権利返却手続を処理していない場合、税関が公告を公布しなければならない。
税関の公告が公布された日から一年以内に、当事者がまだ返却手続を処理していない場合、税関は保証財産、権利を法律に従って換金売却し、または現金引換した後、国庫に納めなければならない。

第百十五条 当事者が違法行為を実施した後、企業の分割、合併またはその他の企業再編等が発生した場合、当事者に対して罰金を課し、違法所得を没収し、または法律に従って貨物、物品、密輸運送道具等の同等価値のある代金を追納する場合は、その権利と義務を負う法人、組織を執行の対象としなければならない。

第百一十六条 当事者が行政処罰の決定に不服があり、行政再審議を申請し、または行政訴訟を提起した場合、行政処罰の執行を停止しない。但し法律で別段の規定がある場合を除く。
当事者が行政再審議を申請し、または行政訴訟を提起する場合、罰金を課す額は行政再審議または行政訴訟期間には計算されないものとする。

第百十七条 下記のいずれか一つに該当する場合、執行を中止する。
(一)処罰決定に違法または不適切な状況がある可能性がある場合。
(二)人民裁判所の強制執行を申請し、人民裁判所が執行中止を決定した場合。
(三)行政再審議機関、人民裁判所が執行を中止する必要があると判断した場合。
(四)税関が執行を中止する必要があると判断したその他の状況がある場合。
前項の第一項の状況により執行を中止する場合は、税関の責任者の承認を得なければならない。
執行中止の状況が消失した後、税関は執行を再開しなければならない。明確な社会的危害がない、当事者に確実な履行能力がない場合、執行を中止してから三年間に執行再開されてない場合、税関は再執行しない。

第百一十八条 下記のいずれか一つに該当する場合、執行を終了する。
(一)執行の根拠となる法律文書が取り消された場合。
(二)当事者としての自然人が死亡し、執行されるための遺産がなく、また義務を負う後継人がない場合。
(三)当事者の法人または他の組織は法律に従って終結し、執行されための財産がなく、また義務を負う後継人がない場合。
(四)税関の行政処罰が履行期限を満了して二年を超えた場合、税関が法律に従って各種の執行措置を取った後も執行が完了できない場合。但し、人民裁判所に強制執行を申請した場合を除く。
(五)人民裁判所に強制執行を申請し、人民裁判所が執行中止後二年を超えても執行が完了しないと判断した場合。
(六)人民裁判所に強制執行を申請した後、人民裁判所が今回の執行手続を終了する、または執行を終了すると決定した場合。
(七)税関が執行を終了する必要があると判断したその他の状況がある場合。

第百十九条 税関が人民裁判所に強制執行を申請する場合、当事者の法定起訴期限が満了した日から三ヶ月以内に提起しなければならない。
税関が罰金の延期、分納を承認した場合、人民裁判所の強制執行を申請する期限は、延長または分納期限の終了日から計算する。

第八章付則

第百二十条 法執行官が職務を怠り、私的詐欺、職権を濫用し、他人の財物を要求し、または受け取った場合、法律に従って処分する。犯罪を構成する場合は、法律に従って刑事責任を追及する。

第百二十一条 税関規則に行政処罰事件の処理手続に対する特別な規定がある場合、その規定に従う。

第百二十二条 税関の密輸犯罪を捜査する公安機構が治安管理処罰事件を処理手続は「中華人民共和国治安管理処罰法」「公安機関が行政事件の処理手続規定」に従って執行する。

第百二十三条 税関が外国人、無国籍者、外国法人またはその他の組織に行政処罰を科す場合、本規定を適用する。

第百二十四条 本規定は税関総署が解釈に責任を負う。

第百二十五条 本規定は2021年7月15日から施行する。税関総署令第145号は2006年1月26日に公布され、2014年3月13日税関総署令第218号により改正された「中華人民共和国税関行政処罰聴取弁法」、2007年3月2日税関総署令第159号として公布され、2014年3月13日税関総署令第218号により改正された「中華人民共和国税関行政処罰事件処理手続規定」、2010年3月1日税関総署令第188号として公布された「中華人民共和国税関行政処罰簡単事件手続規定」は同時に廃止される。

(中国語原文)

http://www.customs.gov.cn/customs/302249/2480148/3715256/index.html