この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。
国家税務総局のユニラテラルAPA適用簡易手続に関する公告
国家税務総局公告2021年第24号
中国共産党中央委員会弁公庁、国務院弁公庁が発行した「税収徴収管理改革の更なる深化に関する意見」を徹底的に執行し、税務分野の「放管服」改革を深化させ、ビジネス環境を最適化し、税務局と企業の協力を促進し、クロスボーダー投資者に対する個別のサービス水準と課税の確実性を向上させるため、「中華人民共和国企業所得税法」及びその実施条例、「中華人民共和国税収徴収管理法」及びその実施細則の関連規定に基づき、ユニラテラルAPA適用簡易手続に関して以下の通り公告する。
一、企業は『国家税務総局の事前確認の整備に関する管理事項に関する公告』(2016年第64号、以下64号公告という)の関連規定に基づき、ユニラテラルAPA手配を申請し、本公告の要求に合致する場合、簡易手続を適用することができる。
二、簡易手続には、申請評価、協議署名、モニタリングの三段階が含まれる。
三、企業が主管税務機関から申請を受理する「税務事項通知書」の日が属する納税年度前3カ年に、毎年発生する関連取引金額が4000万元以上で、下記の条件の一つに該当する企業は、簡易手続の適用を申請することができる。
(一)主管税務機関に、申請を提出しようとしている年度より前3カ年の「国家税務総局の関連申告と同期資料管理に関する事項に関する公告」(2016年第42号)の規定に適合する同期資料を既に提出している。
(二)企業から申請を提出した日が属する納税年度より前10カ年内に、事前確認を執行しており、かつ執行結果が設定要求に適合している。
(三)企業から申請を提出した日が属する納税年度より前10カ年内に、税務機関の特別納税調整調査を受け、かつ結審している。
四、企業は主管税務機関に簡易手続の適用申請を提出せねばならず、主管税務機関が分析評価後、受理するかどうかを決定する。
(一)企業は申請の意向がある場合、主管税務機関に「ユニラテラルAPA適用簡易手続申請書」(添付資料)を提出し、申請報告を添付しなければならない。申請報告には以下の内容が含む。
1.ユニラテラルAPAに関する関連当事者及び関連取引。
2.ユニラテラルAPAの適用年度。
3.ユニラテラルAPAは過去の年度に遡及して適用されるるか否か?
4.企業及びその属する企業集団の組織構造と管理構造。
5.企業の最近の納税年度3から5カ年の生産経営状況、財務会計報告、監査報告、同時期資料等。
6.ユニラテラルAPAに関する各関連者の機能とリスクの説明及び、機能とリスク区分の根拠となる機構、人員、費用、資産等を含む。
7.ユニラテラルAPAで使用する価格設定原則と計算方法、またこの価格設定原則及び計算方法をサポートする機能リスク分析、比較分析と仮定条件等。
8.バリューチェーンまたはサプライチェーンの分析、およびコストセービング、マーケットプレミアム等の地域の特殊な優位性に対する考慮。
9.市場状況の説明、業界の発展動向と競争環境等を含む。
10.ユニラテラルAPAが適用される期間の年間経営規模、経営利益予測及び経営計画等。
11.ユニラテラルAPAに影響がある国内、国外の業界に関連する法律、法規。
12.本公告第三条に適合する関連状況。
13.その他説明が必要な場合。
(二)次のいずれか一つに該当する場合、主管税務機関は企業からの申請を却下することができる。
1.税務機関がすでに企業に対して特別納税調整の調査立案またはその他の税金関連案件の調査を実施しており、まだ結了していない。
2.関連規定に従って年度関連業務往来報告書を記入していない場合、かつ適時に訂正していない。
3.関連規定に従って同期資料を準備、保存、及び提供していない。
4.本公告の要求に従って関連資料を提供していない、或は提供した資料が税務機関の要求に適合しておらず、かつ適時に補正または訂正していない。
5.税務機関との機能とリスクの実地聴取を実施することを拒否する。
(三)主管税務機関は企業の申請を受けた後、分析評価を行い、機能とリスクの実地聴取を行い、企業申請の受領日から90日以内に「税務事項通知書」を送付し、その申請を受理するか否かを通知し、受理しない場合は、その理由を説明しなければならない。
五、主管税務機関は企業の申請を受理した後、企業とその関連取引が独立企業原則に合致しているか否かを協議し、企業に対して申請を受理した「税務事項通知書」を送付した日から6ヶ月以内に協議を終えなければならない。協議期間中、主管税務機関は企業に対して関連資料の補完提出を要求することができ、企業が資料の補完提出に要する時間は上記の6ヶ月以内に算入しない。
(一)主管税務機関と企業の協議が合意した場合、ユニラテラルAPAの文書を立案しなければならない。双方の法定代表者または法定代表者が授権した代表が、ユニラテラルAPAに署名する。
(二)主管税務機関が企業と協議し合意できない場合、簡易手続を終了する「税務事項通知書」を企業に送付しなければならない。企業は64号公告の規定に基づき、ユニラテラルAPAを再申請することができる。既に提出した資料は、再提出する必要はない。
六、税務機関は64号公告の要求に従い、ユニラテラルAPAのモニタリングと執行を行わなければならない。
ユニラテラルAPAの執行期間中に、企業にユニラテラルAPAの実質的な変化に影響を与えることが発生し、執行を中止するに至った場合、本公告の規定に従い、ユニラテラルAPAを再申請することができる。
七、ユニラテラルAPAは主管税務機関が企業に対してその申請を受理する「税務事項通知書」を送付した日の属する納税年度より3~5カ年の関連取引に適用する。
八、同時に二つあるいは二つ以上の省、自治区、直轄市と計画単列市の税務機関のユニラテラルAPAには、簡易手続はしばらく適用されない。
九、本公告は具体的に規定されていないその他のユニラテラルAPA事項は、64号公告の規定に従って執行する。
十、本公告は2021年9月1日から施行する。
ここに公告する。
添付:ユニラテラルAPA簡易手続申請書
国家税務総局
2021年7月26日
(中国語原文)
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810825/c101434/c5167276/content.html
「国家税務総局のユニラテラルAPA適用簡易手続に関する公告」の解説について
2021年07月30日
一、「国家税務総局のユニラテラルAPA適用簡易手続に関する公告」(以下、「公告」という)の背景は何か?
ユニラテラルAPAは特別納税調整の六つの措置の中で、納税者が課税確実性を得るための主要な政策手段である。我が国の20年余りの実践の中で、クロスボーダー企業の税コンプライアンスコストを効果的に削減し、クロスボーダー投資経営を促進した。中国共産党中央委員会弁公室・国務院弁公室が発行した「税収徴収管理改革を更なる深化に関する意見」を徹底的に執行し、税務分野の「放管服」改革を深化させ、ビジネス環境を最適化し、税務局と企業の協力を促進し、クロスボーダー投資者に対する個別のサービス水準と課税の確実性を向上させるため、税務総局は本「公告」を制定し、ユニラテラルAPAの交渉効率をさらに向上させる。
二、「公告」と「国家税務総局の事前確認管理の充実に関する事項に関する公告」(2016年第64号、以下64号公告という)はどのように関連するか?
64号公告は事前確認の管理に関する一般的な規定であり、「公告」は一定の条件に合致する企業に対してユニラテラルAPAを申請する適用手続上の特殊規定である。「公告」はユニラテラルAPAの適用手続を簡略化・圧縮し、具体的な時間的要求を定めたが、64号公告の事前確認に関する一般的な内容の規定は変更されていない。例えば、企業が申請する事前確認の適用条件、遡及期間、申請資料に含まれるべき情報、事前確認文書の内容等は基本的にすべて64号公告の規定に沿って用いられている。「公告」で具体的に規定していない事項は64号公告の規定により執行される。同時に、簡易手続で合意したユニラテラルAPAについても、税務機関内部審査手続は事前確認の一般手続と一致している。簡易手続と一般手続の両方が同時に存在しており、条件に適合する企業は自社の状況によって選択できる。成立したユニラテラルAPAの法律的効力は同じである。
三、「公告」はユニラテラルAPAの手続の何を簡略化したか?
「公告」はユニラテラルAPA手続を評価申請、協議署名とモニタリング執行の3段階に簡略化した。具体的には、
まず、企業が簡易手続の適用を申請する前に、税務機関が、その関連取引、経営環境と機能リスク状況をある程度を理解している場合、簡易手続では予備会談の段階を免除した。
次に、「公告」はユニラテラルAPA手続の中の交渉意向、分析評価と正式申請の3段階を1つの申請評価段階に統合している。企業が税務機関に申請した場合、税務機関は90日以内に分析評価と機能リスク聴取を展開し、企業に「税務事項通知書」を送付しなければならない。企業の申請を受理すれば、企業の正式な申請を受理したことになる。受理しない場合は、受理しない理由を通知しなければならない。
また、《公告》は協議締結段階に対しても具体的な時間的要求を提起した。税務機関は企業に対して申請を受理したとの「税務事項通知書」を送付し6ヶ月以内に企業と協議を終わえなければならない。(すなわち、ユニラテラルAPAの文書内容の合意が達成されなければならない)。合意が達成されなければ、簡易手続は終了する。
最後に、モニタリング管理段階では、一般のユニラテラルAPAの手続と基本的に同じである。
四、どのような種類の企業が簡易手続の適用を申請できるか?
「公告」第三条に基づき、下記の条件の一つに該当する企業は、簡易手続の適用を申請することができる。
1.主管税務機関に、申請を提出しようとしている年度より前3カ年の「国家税務総局の関連申告と同期資料管理に関する事項に関する公告」(2016年第42号)の規定に適合する同期資料を既に提出している。
2.企業から申請を提出した日が属する納税年度より前10カ年内に、事前確認を執行しており、かつ執行結果が設定要求に適合している。
3.企業から申請を提出した日が属する納税年度より前10カ年内に、税務機関の特別納税調整調査を受け、かつ結審している。
説明が必要なのは、次のいずれかの一つに該当する場合は、税務機関は企業からの申請を却下することができるという事である。
1.税務機関がすでに企業に対して特別納税調整の調査立案またはその他の税金関連案件の調査を実施しており、まだ結了していない。
2.関連規定に従って年度関連業務往来報告書を記入していない場合、かつ適時に訂正していない。
3.関連規定に従って同期資料を準備、保存、及び提供していない。
4.本公告の要求に従って関連資料を提供していない、或は提供した資料が税務機関の要求に適合しておらず、かつ適時に補正または訂正していない。
5.税務機関との機能とリスクの実地聴取を実施することを拒否する。
また、同時に二つあるいは二つ以上の省、自治区、直轄市及び計画単列市税務機関のユニラテラルAPAには、簡易手続はしばらく適用されない。
五、同期資料の準備条件を満たしていない企業は、過去3カ年の納税年度の同期資料を補足・準備することによって、簡易手続適用申請の資格を取得できるか?
私達が同期資料を提供する条項を設定する目的は、主に企業が自発的に遵守することを奨励し、遵守レベルの高い企業に対して、その課税確実性を獲得する便宜さを高めることにある。従って、同期資料の準備条件を満たしていない企業は、補充・準備を行い、簡易手続の適用を申請する前に、税務機関に過去三年の納税年度の同期資料を提供することにより、簡易手続の適用を申請する資格を取得することができる。
六、企業がユニラテラルAPAの更新を申請する場合、簡易手続の適用を申請できるか?
「公告」第三条によると、「企業が申請を提出した日の属する納税年度の前の10年以内に、ユニラテラルAPAを執行し、その実施結果が要求に合致している」とし、更新申請を提出した企業は、そのもとのユニラテラルAPAの執行結果が要求に合致しているると、簡易手続の適用を申請することができる。
七、企業はユニラテラルAPAの方式でコストシェアリング協議を成立させ、簡易手続の適用を申請できるか?
企業が簡易手続の適用を申請する条件を満たしていれば、簡易手続でコストシェアリング協議を成立させることができる。ただし、企業が提出する同期資料には、コストシェアリング協議の特別事項文書も含まれる必要があることに注意が必要である。
八、税務機関と企業双方が協議して合意に達することができず、簡易手続を終了した後、企業は簡易手続きを再申請することができるか?
税務機関企業双方が協議で合意できず、簡易手続を終了した場合、企業は簡易手続の適用を再申請することはできないが、64号公告により、一般手続に従ってユニラテラルAPAを再申請することができる。同時に、企業の負担を減らすために、簡易手続ですでに提出した資料は、繰り返し提出する必要がない。
九、ユニラテラルAPAの執行期間に実質的な変化が発生して執行を中止した企業は、簡易手続の適用を再申請できるか?
ユニラテラルAPAの執行期間において、企業がユニラテラルAPAの実質的な変化に影響を与え、執行を終了した場合、「公告」の規定に従い、ユニラテラルAPAの簡易手続を再申請することができる。
十、簡易手続を適用するユニラテラルAPAの適用年度はどのように確定するか?
「公告」では、簡易手続を適用されるユニラテラルAPAの適用年度は主管税務機関が企業に申請を受理する「税務事項通知書」を送付する日の属する納税年度から3~5年と明確に定められている。簡易手続では、一般ユニラテラルAPA手続の中の交渉意向、分析評価及び正式申請の3段階を1つの申請評価段階に統合するため、簡易手続に適用されるユニラテラルAPAの適用年度の設定は、64号公告に関する規定と実質的に一致している。
(中国語原文)
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810760/c5167283/content.html