この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。
国務院による「中華人民共和国行政処罰法」のさらなる貫徹・実施に関する通知
国発〔2021〕26号
各省、自治区、直轄市人民政府、国務院各部委員会、各直属機構:
「中華人民共和国行政処罰法」(以下行政処罰法と略称する)はすでに第十三期全国人民代表大会常務委員会第二十五回会議で改正・採択された。行政処罰法をさらなる貫徹・実施するため、関連事項について以下のように通知する。
一、行政処罰法の貫徹・実施の重要性を全面的に認識する
行政処罰法は政府の行為を規制する重要な法律である。新たに改正された行政処罰法を貫徹・実施することは、公正で文明的な法執行を厳格に規制することを推進し、行政機関が行政管理を効果的に実施することを保障及び監督し、法治化されたビジネス環境を最適化し、公民、法人或いはその他の組織の適法な権益を保護し、法治政府の構築を加速させ、国家のガバナンス体系とガバナンス能力の現代化を推進することに重要な意義を持っている。新たに改正された行政処罰法は近年の行政法執行分野における重大な改革成果を体現し、強固にし、現在の法執行実践の需要に応え、行政処罰の定義を明確にし、行政処罰の種類を拡充し、行政処罰手続を改善させ、行政法執行責任を強化した。各地区、各部門は習近平の法治思想を徹底的に学習し、貫徹し、法治国家、法治政府、法治社会の構築を加速させ、新たに改正された行政処罰法の実施の重要な意義を十分に認識し、効果的な措置をとり、具体的な展開を行い、貫徹・実施の業務をしっかりと行わなければならない。
二、学習、訓練と広報業務を強化する
(一)制度化・規制化・常態化訓練を展開する。行政機関の職員、特に主要幹部は率先して行政処罰法を真剣に学習し、精神的本質と内在的な要求を深く理解し、法律に基づいて行政を行い、自覚的に監督を受けなければならない。各地区、各部門は行政処罰法を行政法執行訓練内容に組み入れ、行政法執行官の必修科目として、行政法執行官が行政処罰法の規定を全面的に理解し、正確に把握し、法律に基づいて行政処罰職能を全面的にかつかつ正確に履行しなければならない。各地区、各部門は2022年6月までに多様な形式を通じて既存の行政法執行官に対する教育・訓練を完了し、新たに任命された行政法執行官の訓練業務を引き続きしっかりと行わなければならない。
(二)広報活動を強化する。各地区、各部門は行政処罰法の広報を当該地域、当該部門の「第八次5ヵ年計画」法律普及計画に組み入れ、社会に向けて広範な広報を展開し、全国民の法治意識を強化し、全国民の法律を遵守する意識を向上させ、すべての関係者が行政処罰行為を監督し、自己の適法な権益を保護するように指導しなければならない。「法律を執行する者、法律を普及させる者」の法律普及責任制度の要求に従い、関連する所属地の管理責任と部門の主体責任を実施し、行政法執行官、行政再審査官等による案件とともに法律解釈活動を深く展開しなければならない。
三、法律に基づいて行政処罰の設定を規制する
(三)立法・法律解釈に関する業務を強化する。法律、法規、規則の草案を起草する際に、行政管理秩序に違反する公民、法人またはその他の組織に対して、権益を減ずる或いは義務の増加という形で懲戒処分を科する場合、法律に基づいて行政処罰を設定し、行政処罰設定の要求を回避するために、他の行政管理措置の名義で偽装して設定してはならない。上位法で設定された行政処罰に対して具体的な規定がある場合、行政管理秩序に違反する行為や行政処罰の種類を増減することにより、法定範囲を超えて罰金の上下限を調整する等の方法で段階的に追加させ或いは「立法放水(立法者による不当な立法行為)」を行ってはならない。現行の法律、法規、規則における行政管理措置が行政処罰に属するか否かについて論争がある場合は、法律に基づいて適時に解釈して回答するか、または管轄機関に解釈して回答を求める必要がある。
(四)法律に基づいて罰金額を合理的に設定する。行政処罰法の規定に基づき、法律、行政法規が制定されていない場合、国務院の部門の規則は行政管理秩序に違反する行為に対して、国務院が設定した限度額に基づいて一定額の罰金を科することができる。部門の規則によって設定された罰金は、違反程度と相当な処罰を科するよう堅持し、罰金額は違法行為の事実、性質、状況及び社会危害の程度に応じ、厳しいものには厳しく、軽いものはは軽くしなければならない。法律、行政法規が違法行為に対して既に罰金が科せられている場合、部門の規則は法律、行政法規が規定した行政処罰の行為、種類と範囲内で規定しなければならない。法律、行政法規が制定されておらず、行政管理上の緊急の必要性に応じて先に部門の規則で罰金を設定する場合、設定される罰金額の最高額は10万元を超えてはならず、かつ法律、行政法規の類似違法行為に対する課せられた罰金額を超えてはならない。公民の生命・健康・安全、金融安全に関わり、かつ有害な結果をもたらす場合、設定される罰金額は最高20万元を超えてはならない。上記の限度額を超える場合、国務院に報告して承認を得なければならない。上記の状況で、部門の規則が一定期間実施された後、設定された罰金を引き続き実施し、法律、行政法に格上げさせる必要がある場合、関係部門は適時に国務院に報告し、全国人民代表大会とその常務委員会に法律の制定を要請するか、または国務院に行政法規の制定を要請しなければならない。本通知が公布された後、部門の規則を改正する際には、実際の状況を踏まえて罰金額を調整する必要性を検討し、低減させるべきものは低減させ、確実に増額しなければならない場合は、法定手続に厳格に従って限度額の範囲内で増額させなければならない。地方政府の規則は罰金の限度額を設定し、法律に基づいて省、自治区、直轄市人民代表大会常務委員会によって規定する。
(五)定期的な評価及び適法性監査を強化する。国務院の部門と省、自治区、直轄市人民政府及びその関係部門は行政処罰の定期評価制度を誠実に実行し、立法計画と長期計画と併せて5年ごとに分類し、まとめて評価を行わなければならない。評価の結果、上位法の規定に適合していない、経済・社会の発展の需要に適応していない、明らかに違反程度と処罰が適切でない、適合性と実用性が欠けている等の状況にある行政処罰規定を発見した場合は、適時に立法権限と手続に従って自らまたは管轄機関にそれを改正し、廃止することを提案しなければならない。行政規制性文書の適法性審査を強化し、行政規制性文書は行政処罰を設定してはならない。行政処罰を違法に規定した場合、関連規定はすべて無効となり、行政処罰の基準としてはならない。
四、行政処罰の実施をさらに規制する
(六)法律に基づいて行政処罰職能を全面的にかつ正確に履行する。行政機関は法執行を国民のために堅持し、行政処罰を通じて行政管理秩序に違反する行為を防止し、是正し、懲戒処分を科す、公共利益と社会秩序を維持し、公民、法人またはその他の組織の適法な権益を保護し、法律に違反して行政処罰を実施してはならず、処罰のために処罰してはならない。利益を追求する法執行を断固として根絶し、罰金や没収指標を下達することを厳しく禁じなければならない。財政部門は罰金と納付の分離制度、収支二本線等の制度の実施状況に対する監督を強化し、司法行政等の部門と提携して規定に基づいて特別監督検査を展開する。行政処罰行為を持続的に規制し、進行中及び事後の監督管理の法治化、制度化、規制化を推し進め、運動式法執行等の法執行の混乱を断固として避けなければならない。
(七)管轄、立件、審理、執行等の手続制度を細分化する。各地区、各部門は法定手続を厳格に遵守し、実情に合わせて行政処罰の関連制度を制定し、改正し、行政処罰法の関連する手続の要求が確実に実施されることを確保しなければならない。地域管轄、職能管轄等の規定をさらに改善し、管轄紛争の解決メカニズムを確立しなければならない。2つ以上の行政機関が同じ主管部門に属し、行政処罰管轄紛争が発生し、協議が成立しない場合、共通の上級主管部門が管轄を指定する。2つ以上の行政機関が異なる所轄部門に属し、行政処罰管轄紛争が発生し、協議が成立しない場合、司法行政部門は関係する部門と協調し、当該レベルの人民政府の指導の下で指定管轄業務を遂行しなければならない。健全な立件制度を確立し、改善し、立件基準を改善し、行政管理秩序に違反する行為に対して、規定に従って適時に立件し、事件の処理期限時間の要求を厳格に遵守し、事件が適時に効果的に調査・処理されることを確保しなければならない。法律による事件の処理期限について特別な規定を設ける必要がある場合には、事件の事実を適時に把握し、違法行為を適時に是正し、通常の行政管理秩序を迅速に回復させるという要件を満たす必要がある。行政処罰審理に関する手続規則を確立し、改善にし、審理範囲と流れを細分化し、審理記録に基づいて行政処罰の決定規定を厳格に実施しなければならない。送付先確認書の利用率を段階的に向上させ、電子送付業務の流れを細分化し、電子決済システムによる罰金の支払いを積極的に推進し、情報セキュリティ保障と技術サポートを強化しなければならない。
(八)電子技術監視設備の設置と使用を規制する。行政機関が電子技術監視設備を設置する場合、基準に適合し、合理的に設置され、標示が明らかであることを確保し、当事者が電子技術監視設備の設置費用を不法に負担または分担することを厳禁し、市場主体が電子技術監視設備を設置し、市場主体が直接的または間接的に罰金を徴収することを厳禁しなければならない。当事者が電子技術監視設備を破壊し、または悪意を持って妨害し、或はデータを偽造し、または改ざん等の過失の証拠がある場合を除き、設備の異常な運行によって行政処罰を科してはならない。定期的に電子技術監視設備を利用して行われた行政処罰の決定に対してデータ分析を実施しなければならない。同じ区域における高頻度の違法行為に対して、原因を総合的に分析し、判断し、発生源の管理を推進し、行政管理行為を改善する必要がある場合は、適時に相応の措置をとり、罰金による管理代行することを根絶しなければならない。電子技術監視設備が収集する情報の使用範囲を厳格に制限し、漏洩、または他人に不法に提供してはならない。
(九)行政処罰の寛大さと厳しさの組み合わせを堅持する。各地区、各部門は行政裁量基準制度を全面的に推進し、行政処罰の裁量権を規制し、違反程度と相当な処罰を科することを確保し、処罰の極端な軽重を防止しなければならない。行政機関は違法事実が明らかにされていない状況で、一定の区域、分野の公民、法人またはその他の組織に対して「一刀切(画一的な処理)」により生産停止、休業、閉鎖を命じる等の行政処罰を実施してはならない。各地区、各部門は国務院の自由貿易試験区改革の試行経験の複製・普及に関する要求に基づき、「初めて違法でしかも危害の結果が軽微で、適時に是正した場合、行政処罰は科されなくてもよい」という規定を全面的に実施し、実情に基づいて複数の分野の包括的処罰免除リストを制定・公布しなければならない。当事者の違法行為に対して法律に基づいて行政処罰を免除された場合、誓約書に署名する等の方式で意識的に法律を遵守するよう教育、指導、監督を行う。食品、医薬品、公共衛生、自然資源、生態環境、安全な生産、労働安全保障等国民の切実な利益にかかわる主要分野における法執行を強化しなければならない。大規模な感染症の流行等の緊急事態が発生した場合、行政機関は緊急事件の対応措置に違反する行為に対して法律に基づいて迅速かつ重い処罰を科する場合、法律に基づいて当事者の適法な権益を合理的に保護しなければならない。
(十)法律責任の連結メカニズムを改善する。各地区、各部門は違法所得の返還を命じる制度を細分化し、法律に基づいて利害関係者の適法な権益を合理的に保護しなければならない。当事者が自ら違法所得を返還し、違法行為の有害な結果を排除または軽減した場合、法律に基づいて行政処罰を軽微にまたは軽減する。「行政法執行機関による犯罪疑いのある事件の移送に関する規定」を全面的に貫徹・実施し、行政機関と司法機関の協調・協力を強化し、規定に基づいて事件の移送経路を円滑にし、事件の移送基準と証拠の認定と保存、情報共有、業務協力等のメカニズムを改善させ、関連物品の処分と検査・鑑定等の問題を統一的に解決しなければならない。行政法執行と刑事司法の連結情報プラットフォームの構築を積極的に推進する。事件があっても移送しない等に対して、犯罪を構成する深刻な事態が発生した場合、法律に基づいて刑事責任を追及する。
五、行政処罰体制のメカニズムを持続的に改革する
(十一)総合行政法執行体制の改革を深化させる。省、自治区、直轄市人民政府は総合行政法執行改革業務を統一的に協調し、推進し、関連制度を確立し、改善し、当該地域の総合行政法執行事項リストの編制を行い、公開しなければならない。条件のある地域は総合性、専門性及びリスク防止を統一的に考慮した上で、より広い範囲、より多くの分野で行政処罰権の集中的行使及びそれに関連する行政検査権、行政強制権の展開を積極的にかつ着実に検討することができる。総合行政法執行機関と業務主管部門、その他の行政機関の行政法執行情報の相互接続・共有、協力のための業務メカニズムを確立・改善する。同時に相対的に集中化された行政許可権と行政処罰権を実施する場合、関連する制度メカニズムを確立し、改善し、秩序あるつながりを確保し、監督管理の空白が発生することを防止しなければならない。
(十二)郷鎮、町に積極的にかつ着実に行政処罰を実施する権限を与える。省、自治区、直轄市は地方の実情に基づき、授権、委託、相対的に集中化された行政処罰権等の方式を採用し、効果的に引き受けることができる郷鎮人民政府、街道弁事処(町事務所)に権限を与え、末端の意見を聞くことを重視し、末端の需要に注目し、積極的にかつ着実に、科学的にかつ合理的に行政処罰権を委任し、完全な程度に達するたびに、委任する。委任され、つながり、適切に管理され、監督される。定期的に評価を整理し、適時な調整を行わなければならない。関連する市、県級人民政府及びその部門は郷鎮人民政府、街道弁事処の行政処罰業務に対する組織・協調、業務指導、法執行監督を強化し、評議査定等の関連制度を確立し、改善し、業務訓練を持続的に展開し、実務上の問題を研究・解決しなければならない。郷鎮人民政府、街道弁事処は法執行能力の構築を継続的に強化し、法律に基づいて行政処罰を実施しなければならない。
(十三)委託された行政処罰を規制する。委託された行政処罰は法律、法規、規則基準に基づき、厳格に法律に基づいて書面委託形式を採用し、委託行政機関と委託組織は委託書を社会に公表しなければならない。すでに行政処罰を委託したが、行政処罰法の要求を満たさない場合は、適時に整理しなければならない。書面による委託規定を満たさず、継続して実施する必要がある場合は、法律に基づいて適時に関連手続を改善しなければならない。委託行政機関は該当する人民政府または垂直管理を実行する上級行政機関に委託書を提出し、司法行政等の部門は指導、監督を強化しなければならない。
(十四)行政法執行の相乗効果を向上させる。共同法執行のメカニズムを段階的に改善させ、「総合調査一回」の経験を複製・普及させ、複数の行政機関が同時に、同じ法執行対象に対して共同検査、調査の実施を検討し、法執行による国民に迷惑をかけることを防止することを検討する。行政処罰協力制度を改善し、協力の実施主体、期限要求、業務手続等の内容を明確にしなければならない。他の行政機関が協力を要請し、自らの職権範囲内に属する事項に対して、積極的に協力職責を履行し、理由もなく拒否し、遅延してはならない。正当な理由なしに拒否、遅延した場合、上級行政機関は改正を命じ、関連責任者に対して法律に基づいて処理する。ビッグデータ、モノのインターネット、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、人工知能等の技術を総合的に運用し、高頻度の行政処罰事項の協力を先行的に推進し、違法の手がかりとなる相互接続、監督管理基準の相互運用性、処理結果の相互承認を実現しなければならない。関係地域は地域間の法執行一体化協力の制度メカニズムを積極的に検討し、行政処罰の早期警報通報メカニズムを確立し、改善し、管轄、調査、執行等の制度メカニズムを改善させ、全国に複製・普及可能な経験を提供することができる。
六、行政処罰の実施に対する監督を強化する
(十五)行政法執行の監督を強化する。省・市・県・郷の四つのレベルを完全にカバーする行政法執行の協調監督業務体系の構築を加速させ、監督方式を革新し、全方位、全過程の監督を強化し、行政法執行の質を向上させなければならない。法執行官の資格管理、法執行行為の動的監視、行政処罰事件簿の評価、主要な問題の調査・監督・処理、責任追及等の制度・メカニズムを改善し、行政処罰文書の様式・文面を更新し、事件処理情報システムを改善し、行政処罰に対する階層的な監督を強化し、事件不成立、事件不移送、調査の長期化、違反程度と処罰の不適合、執行の怠慢等の問題を着実に整理し、問題を発見すれば適時に改善する。行政処罰の実施過程で現れた同種の問題に対して、適時に研究し、規制する。評議査定、統計分析制度を改善し、罰則件数、罰金額等の指標を主な査定基準として使用してはならない。行政処罰が経済社会秩序の維持、公民、法人またはその他の組織の適法な権益の保護、政府の管理効率の向上における総合的に評価し、政府の管理機能的役割を高め、行政処罰の業績評価制度の確立を追求しなければならない。各級人民政府は行政法執行の協調と監督チームの構築を継続的に強化し、人員配置、業務条件、能力水準が業務の任務に適応することを確保しなければならない。
各地区、各部門は新たに改正された行政処罰法の貫徹・実施を現在と今後の一時期における法治政府の構築を加速させるための重要な手がかりとし、関連する行政立法を効果的に強化し、改善し、行政法執行を規制し、行政法執行の監督を強化し、法律に基づいて行政の能力と水準を継続的に向上させなければならない。行政処罰法を貫徹・実施した経験と手方を整理・総括し、重要な状況と問題を適時に司法部に報告しなければならない。司法部は協調・監督を統一的に強化し、各地区、各部門が貫徹・実施業務を行うことを指導し、行政処罰法の貫徹・実施状況の検査を組織・展開し、主要な状況は適時に国務院に報告しなければならない。過去に公布された国務院文書の関連規定が本通知と一致しない場合は、本通知を基準とする。
国務院
2021年11月15日
(中国語原文)
http://www.gov.cn/zhengce/content/2021-12/08/content_5659286.htm