220629_中央企業による省エネルギーと生態環境保護の監督管理弁法(日本語試訳)

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中央企業による省エネルギーと生態環境保護の監督管理弁法

(2022年6月29日 国務院国有資産監督管理委員会第41号公布 2022年8月1日より施行)

第一章 総則

第一条 習近平の生態文明思想を深く貫徹し、生態文明構築に関する党中央委員会・国務院の重大な意思決定と配置を全面的に実施し、中央企業に省エネルギーと生態環境保護の主体的責任の実施を指導し、監督し、中央企業の全面的な持続可能な発展を推進するため、「中華人民共和国省エネルギー法」「中華人民共和国環境保護法」等の関連法律法規に基づいて、本弁法を制定する。

第二条 本弁法でいう中央企業とは、国務院国有資産監督管理委員会(以下国資委と略称する)が国務院の授権に基づいて出資者の職責を履行する国家出資企業を指す。

第三条 国資委は中央企業の省エネルギーと生態環境保護業務に対して以下の職責を履行する。
(一)中央企業に省エネルギーと生態環境保護の主体的責任を履行し、省エネルギーと生態環境保護に関する法律法規・政策と基準を貫徹し、実施するよう指導し、監督する。
(二)中央企業に省エネルギーと生態環境保護組織管理・統計モニタリングと審査・賞罰システムの確立と健全化を指導・監督する。
(三)中央企業の省エネルギーと生態環境保護の審査・賞罰制度を確立し、健全化し、年度及び任期審査を実施し、審査結果を中央企業責任者の経営業績審査システムに組み入れる。
(四)中央企業の省エネルギーと生態環境保護業務に対する監督検査・ヒアリングを組織または参加する。
(五)中央企業の省エネルギーと生態環境保護業務に対する調査研究・交流・研修・広報を組織する。
(六)中央生態環境保護監督の関連業務に協力し、中央企業に中央生態環境保護監督上でフィードバックした問題の改善を促す。

第四条 中央企業の省エネルギーと生態環境保護業務は以下の原則に基づく。
(一)グリーン低炭素発展を堅持する。緑水青山は金山銀山の理念を実践し、生態優先を堅持し、省エネルギー・炭素削減・生態環境保護と企業発展の関係を正しく処理し、グリーン低炭素循環発展システムを構築する。
(二)節約優先・保護優先を堅持する。資源節約と環境保護の基本国策を堅持する。資源節約型と環境友好型企業を積極的に構築し、企業の産業構造の調整とモデルチェンジのグレードアップを推進し、企業の持続可能な発展を促進する。
(三)法律に基づくコンプライアンスを堅持する。国家の省エネルギーと生態環境保護に関する法律法規と関連政策を厳格に遵守し、法律に基づいて国家と地方人民政府の省エネルギーと生態環境保護に関する部門の監督管理を受ける。
(四)企業責任主体を堅持する。中央企業は省エネルギーと生態環境保護の責任主体であり、中国共産党と政府の同じ責任、一つの役職二つの責任を厳格に実施し、発展・生産・業務を管理するために省エネルギーと生態環境保護を管理しなければならないという要求に基づき、省エネルギーと生態環境保護業務を生産経営の全過程で貫かなければならない。

第二章 分類管理

第五条 国資委は中央企業の省エネルギーと生態環境保護に対して動態分類監督管理を実施し、企業が属する業界・エネルギー消費・主要汚染物排出レベルと生態環境に与える影響程度に基づいて、中央企業を3種類に分類する:
(一)第一類企業。主な事業は石油石化、鉄鋼、非鉄金属、電力、化学工業、石炭、建材、交通運輸、建築業界に属し、かつ次の三つの条件のいずれか一つに該当する場合。
1.年間エネルギー消費が200万トンの基準石炭以上である。
2.二酸化硫黄・窒素酸化物・化学的酸素要求量・アンモニア性窒素等の主要汚染物の排出総量が中央企業の上位3分の1に位置する。
3.生態環境に大きな影響を与える。
(二)第二類企業。第一類企業以外で次の二つの条件のいずれか一つに該当する場合。
1.年間エネルギー消費は10万トンの基準石炭以上である。
2.二酸化硫黄・窒素酸化物・化学的酸素要求量・アンモニア性窒素等の主要汚染物の排出総量は中央企業の中位程度に位置する。
(三)第三類企業。上記第一類・第二類以外の企業。

第六条 国資委は企業のエネルギー消費、主要汚染物質排出レベルと生態環境に与える影響程度等の要素に基づいて適時に企業の種類を調整する。

第三章 基本要求

第七条 中央企業は国家と地方人民政府の省エネルギーと生態環境保護に関する法律法規・政策及び基準を厳格に遵守し、社会監督を自覚的に受け入れ、エネルギー消費総量を効果的に制御し、エネルギー利用効率を持続的に向上させ、汚染物質の排出を減らし、温室効果ガスの排出を制御しなければならない。国外生産経営活動も所在地の生態環境保護法律法規を厳格に遵守しなければならない。

第八条 中央企業はグリーン低炭素循環発展理念を積極的に実践し、省エネルギー・生態環境保護・カーボンピークアウト及びカーボンニュートラル戦略的方向性と目標要求を企業の発展戦略と計画に組み入れ、主業を中心に省エネルギー・環境保護等のグリーン低炭素産業を秩序正しく発展させ、強化しなければならない。省エネルギー・炭素削減と生態環境保護資金を予算に組み入れ、資金の十分な投入を保証する。

第九条 中央企業は省エネルギーと生態環境保護組織管理・統計モニタリング・審査・賞罰システムを確立し、健全化しなければならない。

第十条 中央企業は高エネルギー消費・高排出・低レベルプロジェクトの盲目的な発展を断固として抑制し、国家の関連産業政策と計画を厳格に実施しなければならない。M&Aと再編企業の源流管理を強化し、省エネルギーと生態環境保護のための専門デューデリジェンスをM&Aと再編の事前手続きとする。

第十一条 中央企業は所属企業の省エネルギーと生態環境保護業務に対して監督検査を行い、環境影響要素の識別・リスクポイントの調査・排除と隠れたリスクの管理を展開し、環境汚染事件を防止する。

第十二条 中央企業は省エネルギー・低炭素環境保護の新技術・新工芸・新設備・新材料を積極的に推進し、応用し、グリーン低炭素技術の難関攻略と応用を組織・展開しなければならない。

第十三条 中央企業はグリーン低炭素消費の主導的な役割を果たし、製品の全ライフサイクルのグリーン管理を強化し、グリーン低炭素製品とサービスの効果的な供給を拡大し、率先して企業のグリーン調達ガイドラインを実施し、グリーン調達管理制度を確立し、健全化し、グリーンサプライチェーンの転換を推進しなければならない。

第十四条 中央企業は積極的かつ着実にカーボンピークアウトとカーボンニュートラル活動を推進し、科学的かつ合理的にカーボンピークアウトとカーボンニュートラル計画と行動草案を制定し、実施し、二酸化炭素排出の統計計算・情報開示システムを確立し、改善し、効果的な措置を講じて炭素排出を制御しなければならない。

第十五条 中央企業は化石エネルギーを効率的に開発し、利用し、非化石エネルギーを積極的に発展させ、エネルギー構造のクリーン化、低炭素化を推進しなければならない。エネルギー効率の基準比較、エネルギー監査、省エネルギー診断、クリーン生産審査等の活動を積極的に展開する。

第十六条 中央企業の生産経営活動は生態保護のレッドライン・環境品質のボトムライン・資源利用のトップラインと環境アクセスのネガティブリストの要求を厳格に実施し、生態環境への妨害を減らし、生態修復を積極的に展開しなければならない。

第十七条 中央企業の新築・改築・増築プロジェクトは法律に基づいて環境影響評価・省エネルギー評価・水質土壌保持評価と竣工環境保護、水質土壌保持施設の自主検収等の業務を展開し、環境保護施設と主体工事の同時設計・同時施工・同時生産と使用に関する関連規定を厳格に遵守しなければならない。

第十八条 中央企業は国家の汚染物質排出許可制度を厳格に執行し、国家と地方人民政府の要求に従って有害廃棄物の貯蔵・移転及び処理業務を規範化しなければならない。

第十九条 中央企業は環境情報の強制的開示責任を自覚的に履行し、法律法規が要求する内容・方式と期限に従い環境情報を事実に即して規範的に開示しなければならない。

第二十条 中央企業は自覚的に中央生態環境保護監督を受け入れ、関連規定に厳格に従い積極的に中央生態環境保護監督業務に協力し、状況と問題を事実に即して反映し、改善と実施をしっかりと取り組み、監督しながら改善し、監督責任確認と情報公開業務を強化しなければならない。

第四章 組織管理

第二十一条 中央企業は省エネルギーと生態環境保護の指導機構を確立し、健全化し、本企業の省エネルギーと生態環境保護の全体的な業務を担当し、省エネルギーと生態環境保護の重大な事項を研究し、決定し、業務制度を確立しなければならない。

第二十二条 中央企業は関連要求に従って、企業の生産経営に適応する省エネルギーと生態環境保護の監督管理機構を設置または明確にし、管理者を明確にしなければならない。機構の設置・人員の職務資格と配置数は、国家と業界の関連規定に準拠し、企業の生産経営内容と性質、管理範囲、管理スパン等と整合しなければならない。

第二十三条 中央企業は省エネルギーと生態環境保護の主体的責任を実施しなければならない。企業の主要責任者は企業の省エネルギーと生態環境保護業務に対して主要な指導責任を負う。副管理責任者は副管理指導責任を負う。

第二十四条 中央企業は省エネルギーと生態環境保護の専門チームの構築を強化しなければならない。省エネルギーと生態環境保護の広報と研修を組織し、展開し、全員の意識を向上させ、業務の能力を向上させる。

第五章 統計モニタリングと報告

第二十五条 中央企業はボトムアップ・段階的に管理する省エネルギーと生態環境保護の統計報告情報システムを確立しなければならない。

第二十六条 中央企業は各種のエネルギー消費に対して等級別・種類別の計量を実施し、国家基準に合致するエネルギー計量器具を合理的に配備し、使用する。

第二十七条 中央企業は法律に基づいて汚染物質排出の自己モニタリングを展開し、国家と地方人民政府の要求に基づいて汚染物質排出モニタリングシステムを構築しなければならない。二酸化炭素の統計計算能力の構築を強化し、情報化の実測レベルを向上させる。

第二十八条 中央企業は法律に基づいてエネルギー消費・二酸化炭素排出・汚染物質排出等の原始記録と統計台帳を確立し、健全化にしなければならない。

第二十九条 中央企業は国家と地方人民政府が規定する統計モニタリングの規格、範囲、基準と方法に厳格に従い、第三者検査・内部監査・外部監査等の多種の形式を結合し、エネルギー消費・二酸化炭素排出・汚染物質排出等の統計モニタリングデータの真実性・正確性と完全性を確保しなければならない。

第三十条 中央企業は省エネルギーと生態環境保護業務の報告制度を確立し、健全化しなければならない。第一類・第二類企業は四半期ごとに統計報告書を提出し、第三類企業は年度ごとに統計報告書を提出し、かつ年度総括分析報告書を提出する。

第三十一条 中央企業が緊急環境事件または省エネルギー・環境保護の法律法規に違反事件が発生した後、以下の要求に従って報告しなければならない。
(一)緊急環境事件が発生した場合、現場責任者は適時に当該組織の責任者に報告し、組織責任者は報告を受けた後、1時間以内に上位レベルの組織責任者に報告し、かつ段階的に国資委に報告し、必要に応じてより上位レベルへ報告することができ、各レベルの時間間隔は2時間を超えてはならない。
(二)省エネルギー・環境保護の法律法規に違反事件が発生し、かつ一回の罰金金額が100万元以上の場合、当年度の年度総括分析報告で国資委に報告しなければならない。
(三)省エネルギー・環境保護の法律法規に違反事件が発生し、生産停止・是正・閉鎖を命じられた。許可証を一時的に差し押さえ、または取り消し、或は行政拘留の場合、正式な行政処罰決定書を受け取った3日以内に国資委に報告しなければならない。
(四)行政処罰を受けていないが、中央生態環境保護監督或は省部級及びそれ以上の主管部門から法律法規に違反する典型的な事例として公開通報され、或はその他の重大な事件が発生した場合、報告を受けてから3日以内に国資委に報告しなければならない。
(五)中央企業は政府の関係部門が緊急環境事件と省エネルギー・環境保護の法律法規に違反事件に関する調査状況を適時に国資委に報告し、改善・責任追及の実施状況を国資委に報告しなければならない。

第六章 緊急環境事件の緊急管理

第三十二条 中央企業は予防を主とし、予防と緊急を結合する原則を堅持し、緊急環境事件の緊急管理業務を展開しなければならない。

第三十三条 中央企業は法律に基づいて緊急環境事件の緊急対策案を制定し、改善し、要求に応じて所在地の生態環境主管部門に報告し、備案し、かつ定期的に緊急研修を実施しなければならない。

第三十四条 中央企業は緊急処置救援能力の構築を強化し、定期的に緊急環境事件の緊急知識と技能研修を実施しなければならない。

第三十五条 中央企業は緊急環境事件が発生した、または発生する可能性がある場合、適時に相応レベルの緊急環境事件緊急対応策を起動しなければならない。

第三十六条 中央企業は緊急環境事件が発生した後、環境緊急モニタリングを展開し、要求に従って生産停止・排出停止措置を実施し、事件調査に積極的に協力し、環境回復業務を推進しなければならない。

第三十七条 中央企業は緊急環境事件の世論対応メカニズムを確立し、健全化しなければならない。

第七章 審査と賞罰

第三十八条 国資委は中央企業の省エネルギーと生態環境保護の審査評価結果を中央企業責任者の経営業績審査システムに組み入れる。

第三十九条 国資委は中央企業の省エネルギーと生態環境保護に対して年度と任期、定量または定性審査を実施する。

第四十条 緊急環境事件、省エネルギー・環境保護の法律法規に違反する事件、統計データの深刻な不実と虚偽等の状況が発生した場合、年度審査は減点または降格処理を行う。

第四十一条 中央企業は国家の省エネルギーと生態環境保護に関する政策、企業が位置している業界の特徴と省エネルギーと生態環境保護レベルに基づいて、同業界の国際・国内の先進レベルと比較して、科学的で合理的な任期審査指標と目標提案値を提出しなければならない。

第四十二条 国資委は中央企業の省エネルギーと生態環境保護の任期審査指標と目標提案値を審査し、中央企業責任者の任期経営審査責任書を明確にする。

第四十三条 中央企業は審査期末に省エネルギーと生態環境保護の審査完了状況について総括分析を行い、かつ国資委に報告しなければならない。国資委は審査の完了状況について審査評価を行う。

第四十四条 省エネルギーと生態環境保護に対して顕著な成果を挙げた場合、国資委の評定を経て企業に対して任期通報表彰を行う。

第四十五条 中央企業は企業内部の審査・賞罰システムを確立し、改善し、国資委が下した省エネルギーと生態環境保護の審査指標と目標を結合し、関連責任を段階的に分解し、実施しなければならない。深刻な悪影響を与える緊急環境事件、省エネルギー・環境保護の法律法規に違反事件、またはエネルギー消費・汚染物質排出・二酸化炭素排出データの虚偽行為が発生した場合、規定に基づいて年度審査に対して減点または降格処理を実施する。顕著な成果を挙げた企業と個人に対しては、表彰奨励を行うことができる。

第四十六条 国資委は本弁法に基づいて「中央企業の省エネルギーと生態環境保護審査細則」を制定し、必要に応じて改訂する。

第八章 附則

第四十七条 本弁法が指す緊急環境事件は、「国家緊急環境事件緊急対応策」に基づいて確定する。

第四十八条 各地域の国有資産監督管理機構は、本弁法を参照して、本地域の実情に即して関連規定を制定することができる。

第四十九条 本弁法は国資委が解釈の責任を負う。

第五十条 本弁法は2022年8月1日から施行される。「中央企業省エネルギー・排出削減監督管理暫定弁法」(国資委令第23号)は同時に廃止する。

(中国語原文)
http://www.sasac.gov.cn/n2588035/n2588320/n2588335/c25677916/content.html