220801_BEPS多国間協定中国発効(日本語試訳)

この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。

国家税務総局による「税源侵食と利益移転を防止するための租税条約に関連する措置の実施に関する多国間協定」が中国で発効し、一部の租税条約への適用開始に関する公告

国家税務総局公告2022年第16号

「税源侵食と利益移転を防止するための租税条約に関連する措置の実施に関する多国間協定」(以下「協定」と略称する)は、経済協力・発展機構がG 20の委託を受けて制定したもので、現行の二国間租税条約を一括改訂し、租税条約に関連する税源侵食と利益移転(BEPS)行動計画の成果提案を実行することを目的とする。2022年6月30日現在、中国を含む97の国または地域が「協定」に署名した。ここに「協定」が中国に発効し、一部の租税条約への適用開始に関する事項について以下のように公告する:

一、「協定」の中国への発効状況

国務院の承認を得て、中国は2022年5月25日に「協定」寄託者の経済協力・発展機構事務総長に「協定」批准書を寄託した。「協定」第三十四条(発効)第二項の規定に基づいて、「協定」は2022年9月1日に中国に発効する。

二、「協定」が中国に対する一部の租税条約への適用開始状況

2022年6月30日現在、租税条約の締約国が「協定」の発効手続を完了した状況により、「協定」は中国が署名した47の租税条約(詳細は添付資料を参照)に適用され、適用開始時期は「協定」第三十五条(適用開始)の規定に基づいて確定される。

「協定」の文書及び中国が「協定」に対する保留と通知のリストは国家税務総局のウェブサイトで公開された。

ここに公告する。

添付資料:適用される租税条約目録

国家税務総局
2022年8月1日

(中国語原文)
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810825/c101434/c5178626/content.html

「国家税務総局による「税源侵食と利益移転を防止するための租税条約に関連する措置の実施に関する多国間協定」が中国で発効し、一部の租税条約への適用開始に関する公告」の解説

一、「協定」制定の背景と主な内容は何ですか。

G 20首脳は2013年9月のサンクトペテルブルクサミットで公報を発表し、税源侵食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting、以下BEPSと略称する)プロジェクトの実施を決定し、経済協力・開発機構(OECD)にこの作業の主導を委託した。

BEPSプロジェクトには15の行動計画があり、そのうち15号の行動計画では多国間ツールを制定し、現行の二国間租税条約を一括して改訂し、租税条約に関連する行動計画の成果提案を実行することを提案した。そのため、OECDは主導して特別業務グループを設立し、「税源侵食と利益移転を防止するための租税条約に関連する措置の実施に関する多国間協定」(以下「協定」と略称する)の文書の起草を検討した。「協定」の文書は2016年11月24日にフランス・パリで正式に採択された。2022年6月30日現在、中国を含む97の国や地域が「協定」に署名している。

「協定」の主な内容は、BEPS第二号行動計画(ハイブリッド・ミスマッチ取極めの効果の無効化)、BEPS第六号行動計画(租税条約の濫用防止)、BEPS第七号行動計画(恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止)、BEPS第十四号行動計画(相互協議の効果的実施)の成果提案、および「協定」締約国が保留と通知を行うことができるオプションを含む。「協定」締約国は保留または通知を行うことにより、「協定」が現行の租税条約及び特定の条項に対して改訂の範囲を確定する。「協定」の文書と中国が「協定」に対して保留と通知を行ったリストは国家税務総局のウェブサイトで公開された。

二、「協定」は中国の現行租税条約にどのような影響を与えましたか。

(一)「協定」の適用に関する租税条約
「協定」第一条(協定の範囲)の規定に基づいて、「協定」の租税条約を改訂する範囲は「協定」第二条(用語解釈)第一項第(一)号で定義された「包括的租税条約」に限られている。「包括的租税条約」とは、次の二つの条件を同時に満たす租税条約を指す:第一に、「協定」の締約国間で署名され、すでに発効している租税条約、第二に、租税条約の締約国は双方とも通知を行った方式により、それを「協定」の適用範囲に組み入れる。

中国は通知を行う方式で、100カ国と署名した租税条約を「協定」の適用範囲に組み入れた。2022年6月30日現在、上記の100の締約パートナー国のうち47カ国は「協定」の発効手続を完了し、中国と署名した租税条約を適用範囲に組み入れている。「協定」の規定によると、「協定」は上記の47の租税条約に適用される。将来的には、より多くの国と地域が「協定」に署名し、発効手続を完了するにつれて、「協定」が中国の現行租税条約への適用範囲はさらに拡大される。

(二)「協定」改訂に関する条項
「協定」が包括するBEPS行動計画の成果提案の中には、一部は最低基準として挙げられ、「協定」締約国は採択しなければならない。一部は単なる政策提案であり、「協定」締約国は採択しないことができる。「協定」の異なる条項の規定に基づいて、「協定」締約国は保留を行わない又は通知を行うことによって関連する成果提案を採択することができ、保留を行う又は通知を行わないことによって採択しないことができる。通常、租税条約の両締約国が「協定」で関連する成果提案を採択した場合に限り、「協定」は現行の租税条約の条項を改訂することができる。

中国は「協定」の中で2種類の成果提案を採択した。1つはBEPSの最低基準条項であり、条約が租税回避行為による非課税または過少課税を防止しなければなれない序文の内容、及び条約の濫用に対応する主な目的テスト条項等を含む。第二に、中国が近年署名した租税条約に通常組み入れているその他のBEPS成果提案であり、例えば、経済関係をさらなる発展、租税協力を強化するための序文の内容、租税条約が居住国の課税を制限しない規定、二重居住者実体の加算比率規則等である。租税条約の締約国も「協定」で上記の成果提案を採択した場合、「協定」は現行の租税条約の該当条項を改正することになる。各国が「協定」に対する保留と通知を行うリストはOECDのウェブサイトで検索することができる。
http://www.oecd.org/tax/treaties/beps-mli-signatories-and-parties.pdf

(三)「協定」と現行租税条約との統合文書について
納税者と税務機関が「協定」の現行租税条約改正の具体的な状況を容易に検索するために、我々は租税条約締約国が「協定」で行った保留と通知と結びつけて、「協定」に適用される各租税条約に対してそれぞれ統合文書を作成し、「協定」改正の具体的な条項を表記し、「協定」関連規定を明記し、「協定」が当該租税条約に適用開始日付を説明した。統合された文書は、国家税務総局のウェブサイト「租税条約」欄の対応する「国家または地域」の項目で公開されている。今後、我々は、租税条約締約国による保留と通知の最新状況に基づいて、統合文書を補足し、更新する。

説明が必要なのは、租税条約文書と「協定」文書は準文書であり、統合文書は参照としてのみ使用され、法的効力はない。

三、「協定」はいつ中国で発効するでしょうか。
国務院の承認を得て、中国は2022年5月25日に「協定」寄託者OECD事務総長に「協定」批准書を寄託した。「協定」第三十四条(発効)の規定に基づいて、「協定」は批准書が寄託された三カ月後の翌月1日である2022年9月1日に中国で発効する。

四、「協定」はいつから中国の現行租税条約に適用開始されるでしょうか。

「協定」第三十五条(適用開始)の規定に基づき、「協定」が各租税条約に適用開始される日付は、通常、「協定」に基づいて租税条約の両締約国のうちの後者に発効する日付に確定される。中国とアルバニアの租税条約を例にとると、「協定」のアルバニアへの発効日は2021年1月1日、中国への発効日は2022年9月1日で、「協定」第三十五条第一項の規定に基づき、「協定」は中国とアルバニア租税条約の適用開始状況は以下の通り:

(一)非居住者に支払われ、または非居住者に帰属した金額に対して源泉徴収された租税は、2023年1月1日(すなわち2022年9月1日の翌暦年の第1日)から発生した課税事項に適用される。

(二)その他すべての租税に対して、2023年3月1日(つまり2022年9月1日から6暦月が満了する)または以降から開始される納税期間によって課税される租税に適用する。

ただし、租税条約のいずれかの締約国が「協定」第三十五条における保留または通知を行った場合、「協定」が現行租税条約の適用開始日については、関連保留または通知と合わせて確定する必要がある。「協定」は各現行の租税条約に適用開始される日付が、国家税務総局のウェブサイトに掲載された統合文書を参照することができる。

一部の租税条約はすでに中国と租税条約締約国によって「協定」の適用範囲に組み入れられているが、締約国はまだその国内発効手続を完了していないため、「協定」の租税条約への適用状況を確定することはできない。中国税務総局は締約国がその国内での発効手続を完了し、「協定」の租税条約への適用状況を確定した後、別途公告を行う。

(中国語原文)
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810760/c5178627/content.html