230628_中華人民共和国対外関係法_(日本語試訳)

この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。

中華人民共和国対外関係法
(2023年6月28日第14期全国人民代表大会常務委員会第3回会議採択)

目録
第一章 総則
第二章 対外関係の職権
第三章 対外関係発展の目標と任務
第四章 対外関係の制度
第五章 対外関係の発展の保障
第六章 附則

第一章 総則

第一条 対外関係を発展させ、国家主権、安全、発展の利益を維持し、人民の利益を維持、発展させ、社会主義現代化強国を建設し、中華民族の偉大な復興を実現し、世界の平和と発展を促進し、人類運命共同体の構築を推進し、憲法に基づいて、本法を制定する。

第二条 中華人民共和国は各国との外交関係と経済、文化等の各分野の交流と協力を発展させ、国連等の国際組織との関係を発展させ、本法を適用する。

第三条 中華人民共和国はマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、「三つの代表」重要思想、科学発展観、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想を指導として堅持し、対外関係を発展させ、友好交流を促進する

第四条 中華人民共和国は独立自主の平和外交政策を堅持し、主権と領土保全の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉、平等互恵、平和共存の5つの原則を堅持する。
中華人民共和国は平和発展の道を堅持し、対外開放の基本国策を堅持し、互恵・ウィンウィンの開放戦略を遂行している。
中華人民共和国は国連憲章の趣旨と原則を遵守し、世界の平和と安全を維持し、世界の共同発展を促進し、新しい国際関係の構築を推進する。国際紛争を平和的に解決することを主張し、国際関係における武力の使用または武力による威嚇に反対し、覇権主義と強権政治に反対する、国が大小、強弱、貧富を問わず一律に平等であることを堅持し、各国人民が自主的に選択した発展の道と社会制度を尊重する。

第五条 中華人民共和国の対外活動は中国共産党の集中的統一指導を堅持する。

第六条 国家機関と武装力、各政党と各人民団体、企業事業組織とその他の社会組織及び公民は、対外交流協力において国家主権、安全、尊厳、栄誉、利益を守る責任と義務がある。

第七条 国は民間の対外友好交流協力の積極的な展開を奨励する。
対外交流協力において際立った貢献をした者に対して、国の関連規定に従って表彰と奨励を与える。

第八条 いかなる組織及び個人であっても、本法と関連法律に違反し、対外交流中に国益を損なう活動に従事した場合、法に基づいて法律責任を追及する。

第二章 対外関係の職権

第九条 中央外事活動指導機構は対外活動の決定と議事協調を担当し、国家対外戦略と関連重大方針政策の研究・制定、指導・実施を行い、対外活動のトップダウンによる設計、統一的な調整、全体的な推進、督促・実行を担当する。

第十条 全国人民代表大会及びその常務委員会は、外国と締結した条約及び重要協定を批准し、廃棄し、憲法及び法律に規定された対外関係の職権を行使する。
全国人民代表大会及びその常務委員会は積極的に対外交流を展開し、各国議会、国際及び地域議会組織との交流と協力を強化している。

第十一条 中華人民共和国主席は中華人民共和国を代表して、国事活動を行い、憲法と法律に規定された対外関係の職権を行使する。

第十二条 国務院は対外事務を管理し、外国と条約と協定を締結し、憲法と法律に規定された対外関係の職権を行使する。

第十三条 中央軍事委員会は国際軍事交流と協力を組織し、憲法と法律に規定された対外関係の職権を行使する。

第十四条 中華人民共和国外交部は法に基づいて外交事務を処理し、党と国家指導者と外国指導者との外交往来事務を引き受ける。外交部は国家機関の各部門、各地域の対外交流協力に対する指導、協調、管理、サービスを強化する。
中央と国家機関は職責に応じて分業し、対外交流協力を展開する。

第十五条 中華人民共和国の外国駐在大使館、領事館及び国連とその他の政府間国際組織に常駐する代表団等の在外外交機構は中華人民共和国を対外代表する。
外交部は外国駐在外交機構の業務を統一的に指導する。

第十六条 省、自治区、直轄市は中央の授権に基づいて特定の範囲内で対外交流協力を展開する。
省、自治区、直轄市人民政府は職権に基づいて当該行政区域の対外交流協力事務を処理する。

第三章 対外関係発展の目標と任務

第十七条 中華人民共和国は対外関係を発展させ、中国の特色ある社会主義制度の維持を堅持し、国家主権、統一と領土保全を維持し、国家経済社会の発展に奉仕する。

第十八条 中華人民共和国は、グローバル発展イニシアティブ、グローバル安全イニシアティブ、グローバル文明イニシアティブの実践を推進し、全方位、多階層、広範囲、立体化した対外活動配置を推進する。
中華人民共和国は大国の協調と良好な相互作用を促進し、親誠恵容理念と近隣を善とし、近隣を伴とする方針に基づいて周辺国との関係を発展させ、真実な親誠理念と正しい義利観を持って発展途上国と団結して協力し、多国間主義を維持し、実践し、グローバルガバナンス体系の改革と建設に参加する。

第十九条 中華人民共和国は国連を中心とする国際システムを維持し、国際法を基礎とする国際秩序を維持し、国連憲章の趣旨と原則を基礎とする国際関係の基本準則を維持する。
中華人民共和国は共同協議・共同建設・共有のグローバルガバナンス観を堅持し、国際ルールの制定に参画し、国際関係の民主化を推進し、経済のグローバル化が開放、包摂、普恵、バランス、ウィンウィンの方向に発展するよう推進する。

第二十条 中華人民共和国は共同、総合、協力、持続可能なグローバル安全観を堅持し、国際安全協力を強化し、グローバル安全管理メカニズムへの参加を完全なものにする。
中華人民共和国は国連安全保障理事会常任理事国の責任を履行し、国際平和と安全を維持し、国連安全保障理事会の権威と地位を維持する。
中華人民共和国は国連安全保障理事会が授権した平和維持行動を支持し、参画し、平和維持行動の基本原則を堅持し、主権国家の領土保全と政治的独立を尊重し、公平な立場を維持する。
中華人民共和国は国際軍備統制、軍縮と拡散防止システムを維持し、軍備競争に反対し、あらゆる形の大量破壊兵器関連拡散活動に反対し、禁止し、関連する国際義務を履行し、拡散防止の国際協力を展開している。

第二十一条 中華人民共和国は公平で普遍的な恩恵、開放的な協力、全面的な協調、革新連動の世界的な発展観を堅持し、経済、社会、環境の調和のとれた持続可能な発展と人の全面的な発展を促進する。

第二十二条 中華人民共和国は人権を尊重し保障し、人権の普遍性原則と自国の実際との結合を堅持し、人権の全面的な協調発展を促進し、平等と相互尊重の基礎の上で人権分野の国際交流と協力を展開し、国際人権事業の健全な発展を推進する。

第二十三条 中華人民共和国は、世界各国が国、民族、文化の違いを超え、平和、発展、公平、正義、民主、自由の全人類共通の価値を発揚することを主張する。

第二十四条 中華人民共和国は平等、相互参照、対話、包容的な文明観を堅持し、文明の多様性を尊重し、異文化交流対話を推進する。

第二十五条 中華人民共和国は世界環境気候対策に積極的に参加し、グリーン低炭素国際協力を強化し、世界生態文明建設に協力し、公平で合理的、協力的でウィンウィンの世界環境気候対策システムの構築を推進する。

第二十六条 中華人民共和国は高レベルの対外開放の推進を堅持し、対外貿易を発展させ、外国投資家の投資を積極的に促進し、法に基づいて保護し、対外投資等の対外経済協力の展開を奨励し、「一帯一路」の高品質な発展の共同建設を推進し、多国間貿易体制を維持し、一方主義と保護主義に反対し、開放型世界経済の建設を推進する

第二十七条 中華人民共和国は経済、技術、物資、人材、管理等の方式を通じて対外援助を展開し、発展途上国の経済発展と社会進歩を促進し、その自主的で持続可能な発展能力を強化し、国際発展協力を推進する。
中華人民共和国は国際人道主義協力と援助を展開し、防災・減災・災害救援の国際協力を強化し、関係国の人道主義緊急事態への対応に協力する。
中華人民共和国は対外援助を展開し他国の主権を尊重することを堅持し、他国の内政に干渉せず、いかなる政治的条件も付加しない。

第二十八条 中華人民共和国は対外関係の発展の必要に応じて、教育、科学技術、文化、衛生、スポーツ、社会、生態、軍事、安全、法治等の分野の交流協力を展開する。

第四章 対外関係の制度

第二十九条 国は国内法治と渉外法治を統一的に推進し、渉外分野の立法を強化し、渉外法治システムの構築を強化する。

第三十条 国は憲法と法律に基づいて条約と協定を締結または参加し、関連条約と協定に規定された義務を善意に履行する。
国が締結または参加する条約や協定は憲法に抵触してはならない。

第三十一条 国は適切な措置を講じて条約と協定を実施し適用する。
条約と協定の実施と適用は、国家主権、安全、社会公共の利益を損なってはならない。

第三十二条 国は国際法の基本原則と国際関係の基本準則を遵守した上で、渉外分野の法律法規の実施と適用を強化し、そして法に基づいて法執行、司法等の措置をとり、国家主権、安全、発展の利益を守り、中国公民、組織の合法的権益を保護する。

第三十三条 国際法と国際関係の基本準則に違反し、中華人民共和国の主権、安全、発展の利益を害する行為に対して、中華人民共和国は有する権利で、相応の対抗策と制限措置をとる。
国務院とその部門は必要な行政法規、部門規則を制定し、相応の業務制度とメカニズムを確立し、部門の協力を強化し、関連する対抗策と制限措置を確定し、実施する。
本条第一項、第二項に基づく決定を最終決定とする。

第三十四条 中華人民共和国は一つの中国の原則を基礎とし、平和共存五原則に基づいて世界各国と外交関係を樹立し、発展させる。
中華人民共和国は締結または参加する条約と協定、国際法の基本原則と国際関係の基本準則に基づいて、外交、領事関係等の必要な外交行動を変更または中止する権利がある。

第三十五条 国は、国連安全保障理事会が国連憲章第七章に基づいて行った拘束力のある制裁決議及び関連措置を実行するための措置をとる。
前項の制裁決議と措置の実行については、外交部が通知を出し、公告する。国家の関係部門と省、自治区、直轄市の人民政府はそれぞれの職権範囲内で措置を取って執行する。
中国国内の組織と個人は外交部の公告内容と各部門、各地域の関連措置を遵守しなければならず、上述の制裁決議と措置に違反する行為に従事してはならない

第三十六条 中華人民共和国は関連法律と締結または参加する条約と協定に基づいて、外国外交機構、外国国家官僚、国際組織及びその役人に相応の特権と免除を与える。
中華人民共和国は関連する法律と締結または参加する条約と協定に基づいて、外国の国とその財産を免除する。

第三十七条 国は法に基づいて必要な措置をとり、中国公民と組織の海外における安全と正当な権益を保護し、国の海外利益を脅威と侵害から保護する。
国は海外利益保護システム、業務メカニズム、能力建設を強化する。

第三十八条 中華人民共和国は法により中国国内における外国人及び外国組織の合法的権利及び利益を保護する。
国は外国人の入国、滞在を許可または拒否する権利があり、法に基づいて外国組織の国内での活動を管理する。
中国国内にいる外国人と外国組織は中国の法律を遵守しなければならず、中国の国家安全に危害を与え、社会公共利益に損害を与え、社会公共秩序を破壊してはならない。

第三十九条 中華人民共和国は多国間二国間法治対話を強化し、対外法治交流協力を推進する。
中華人民共和国は締結または参加した条約と協定に基づいて、あるいは平等互恵の原則に基づいて、外国、国際組織と法執行、司法分野で国際協力を展開する。
国は対外法執行協力活動のメカニズムを深化させ、拡大し、司法協力体制のメカニズムを完全なものにし、法執行、司法分野の国際協力を推進する。国は多国籍犯罪の取り締まり、反腐敗等の国際協力を強化する。

第五章 対外関係の発展の保障

第四十条 国は対外活動の総合保障システムを健全化し、対外関係を発展させ、国益を守る能力を増強する。

第四十一条 国は対外活動に必要な経費を保障し、対外関係の需要と国民経済の発展レベルに応じた経費保障メカニズムを構築する。

第四十二条 国は対外活動における人材布陣の構築を強化し、人材育成、使用、管理、サービス、保障等の業務を着実に行うための措置を講じて推進する。

第四十三条 国は様々な形式を通じて社会大衆の理解を促進し、対外活動を支援する。

第四十四条 国は国際広報能力の構築を推進し、世界が中国をよりよく理解し、認識することを推進し、人類文明の交流と相互参照を促進する。

第六章 附則

第四十五条 本法は2023年7月1日から施行する。

(中国語原文)
http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202306/d4a1d80fd2764a7ca3c57387cf17109d.shtml