201204_「国家税務総局による更に一部簡便で最適化された個人所得税の予納源泉徴収方法に関する公告」の解説について(日本語試訳)

この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。

「国家税務総局による更に一部簡便で最適化された個人所得税の予納源泉徴収方法に関する公告」の解説について

2020年12月04日

出所:国家税務総局弁公庁

 

最近、国家税務総局は「国家税務総局による更に一部簡便で最適化された個人所得税の予納源泉徴収方法に関する公告」(以下、「公告」という)を制定する。

一、なぜ「公告」を出したのか?

個人所得税の改革後、できるだけ多くの納税者が予納源泉徴収の一環で税金を正確に予納し、改革のメリットを前倒で享受するため、国際的慣行による手法を参考にして、居住者個人の給与・賃金所得に対して累積予納法を採用し、個人所得税を予納源泉徴収する。このように多くの給与・賃金所得が一箇所しかない納税者の予納源泉徴収される税金は通年の納税金と一致しており、翌年に再度確定申告で精算をする必要がなく、税負担は効果的に軽減される。新税制の初年度の実施状況から見ると、この予納源泉徴収制度は積極的かつ効果的な役割を果たしており、相当部分の納税者の予納段階から十分改革メリットを享受しており、しかも確定申告による精算は行われない。しかし、一部は固定的に一箇所から給与を取得し、かつ年収が6万元以下の納税者で、通年計算しても納税は不要だが、その毎月の収入変動が大きい或いは、以前は高く、後に低くなった等の原因で、年の途中では、年間所得の状況及びひと月或いは数カ月の予納厳正徴収される税額が判断できず、年度終了後に還付を申請する必要がある。

これに対して、新税制の実施にはすでに一つの完全な納税期間があることを考慮して、納税者も新税制を執行された後の通年の収入納税データがあり、この部分の仕事が安定しており、かつ、年収が6万元を下回るグループに対しては、税制改正メリットを享受する上で、その税金予納源泉徴収方法を最適化し、さらにその税負担を軽減することができる。「中華人民共和国個人所得税法」とその実施条例の関連規定に基づき、納税者の予納源泉徴収段階の税務負担と財政収入の安定性を考慮し、統一的に配慮し、「公告」を発表した。

二、「公告」はどのような納税者の予納源泉徴収方法を最適化したか?

「公告」は主に二種類の納税者の予納源泉徴収方法を最適化した。

第一に、前完全納税年度の各月に同じ組織で給与賃金所得の個人所得税を源泉徴収申告し、かつ通年の給与・賃金収入は6万元を超えない居住者個人である。具体的には、同時に3つの条件を満たす必要がある。(1)前納税年度1~12月は同じ組織で勤務し、かつ、給与賃金の個人所得税を予納源泉徴収申告している。(2)前納税年度の1月から12月までの累計給与賃金収入(年間一回制賞与等各種給与賃金を含み、かつ如何なる費用控除及び免税収入を含まない)が6万元を超えない。(3)当納税年度1月より依然としてその会社で雇われ、給与・賃金所得を取得している。

第二に、累積源泉徴収法予納源泉徴収法により個人所得税を徴収される居住者個人としての保険マーケティングや証券ブローカーである。同様に、次の3つの条件を同時に満たす必要がある。(1)前納税年度1~12月は同じ組織から報酬を取得し、かつ累積源泉徴収法に従って役務報酬所得の個人所得税の予納源泉徴収を申告している。(2)前納税年度1~12月の累計労務報酬(如何なる費用控除及び免税収入を含まない)が6万元を超えない。(3)当納税年度1月からも、引き続き当該組織より累積源泉徴収法により税額を予納源泉徴収される労務報酬所得を取得している。

【例】李さんは2020年から2021年まで継続してA社の社員である。A社は2020年1~12月に毎月全従業員全額源泉徴収申告を行ったように李さんにも処理した。李さんが2020年の給与収入の合計は54000元とすれば、李さんは2021年にこの公告を適用することができる。

【例】趙さんは2020年3~12月にB社で働いており、かつ、年間給与は54000元である。趙さんが2021年もB社で働いていたと仮定すると、前年は一年を通してB社ではなかったので、この公告は適用されない。

三、最適化された予納源泉徴収方法はどのようなものか?

「公告」の規定に適合する納税者に対して、源泉徴収義務者は本納税年度の個人所得税を予納源泉徴収する際、累計控除費用は1月から直接、通年6万元で計算して控除する。つまり、納税者の累計収入が6万元を超えない月には、個人所得税を予納源泉徴収する必要がない。その累計収入が6万元を超えた当月と以後年内に続く月は、個人所得税を予納源泉徴収する。同時に、税法の規定により、源泉徴収義務者は依然として税法の規定に従って全従業員の全額源泉徴収申告を行う。

【例】張さんはA社の社員で、2020年1~12月にA社で給料賃金50000元を取得した。会社は2020年1~12月の給与賃金所得個人所得税の全従業員の全額の明細を申告した。2021年、A社は1月に10000元の給料を支給し、2-12月には毎月4000元の給料を支給しました。「三険一金」などの各種控除を考慮しない状況で、元の源泉徴収方法によれば、張さんは1月に個人税(10000-5000)×3%=150元を予納する必要があり、その他の月は個人所得税を源泉徴収する必要がない。通年で計算すると、その年の収入が6万元に満たないため、結果として150元を確定申告で還付精算することになる。この公告で規定された新しい予納源泉方法を採用した後は、張さんは1月から直接に年間累計で6万元の控除ができ、税金を予納する必要がなく、年度が終わっても、確定申告で精算する必要がない。

【例】周さんはA会社の社員で、2020年1~12月にA社で給料50000元を取得した。会社は2020年1~12月の全従業員の給与・賃金所得個人所得税の全額明細を申告した。2021年、A社は毎月8000元の給料を支払い、個人は国家基準で「三保険一金」2000元を支払う。他の控除を考慮しない状況で、元の予納源泉徴収方法によれば、周さんは毎月個人所得税を30元予納しなければならない。本公告に規定された新しい予納源泉徴収方法を採用した後は、1~7月に、周さんはその累計収入(8000×7ヶ月=56000元)が6万元未満のため、税金を徴収される必要がない。8月から張さんの累計収入は6万元を超え、毎月予納源泉中秋する必要がある税金は下記の通り計算される。

8月予納源泉徴収税金=(8000×8-2000×8-600)×3%-0=0元
9月予納源泉徴収税金=(8000×9-2000×9-600)×3%-0=0元
10月予納源泉徴収税金=(8000×10-2000×10-600)×3%-0=0元
11月予納源泉徴収税金=(8000×11-2000×11-600)×3%-0=180元
12月予納源泉徴収税金=(8000×12-200×12-6百万)×3%-180=180元

説明が必要なのは、本「公告」の条件に合致する納税者に対して、源泉徴収義務者が本年度に支給する収入が6万元を超えると見込んでおり、納税者が納税記録を必要とするか、または本人が複数の所得を合併した後の通年収入が6万元を超えると見込まれるなどの理由で、源泉徴収義務者と納税者がその年の1月の税金源泉徴収申告前に双方で確認した後、元の予納源泉徴収方法に基づき計算し、個人所得税を源泉徴収することができるということである。

【例】上記の例では、A社は2021年が周さんの年間給与96000元であると見込んだ場合、2021年1月の給与支給前に周さんと確認後、元の源泉前納方法に従って毎月30元の税金を源泉徴収して申告することができる。

四、「公告」が出た後、源泉徴収義務者はどのようにすればよいか?

自然人電子税務局の利用者端末と自然人電子税務局WEB端末の源泉徴収機能を採用して申告する場合、源泉徴収義務者は本年度1月の個人所得税を計算して源泉徴収する際、システムは前年度の源泉徴収申告状況に基づいて、自動的に条件に合うかもしれない従業員リストをまとめて提示し、源泉徴収義務者は実際の状況に基づいて照合し、確認した後、本「公告」の方法で個人所得税の予納源泉徴収をする。紙を採用して申告する場合、源泉徴収義務者は前年度の源泉徴収申告状況に基づき、「公告」の規定に合致する納税者を判断し、また本公告に従って実行し、かつその年の1月の税金源泉徴収申告から、「個人所得税源泉徴収申告表」の該当納税者の備考欄に「前年度の各月に申告があり、かつ通年収入は6万元を超えない」と記入しなければならない。

五、「公告」の実施時期はいつか?

「公告」は2021年1月1日から施行される。

「国家税務総局による一部更に簡便で最適化された個人所得税予納源泉徴収方法に関する公告」(国家税務総局公告2020年第19号)
(中国語原文)
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n363/c5159450/content.html
(日本語試訳)
https://matsuda.ne.jp/201204_sat19iit/

(本通達の中国語原文)
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810760/c5159451/content.html