210429_反食品浪費法(日本語試訳)

この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。

中華人民共和国反食品浪費法

(2021年4月29日、第13回全国人民代表大会常務委員会第28回会議において採択)

第一条  食品浪費を防止し、国家の食糧安全を保障し、中華民族の伝統的美徳を発揚し、社会主義の核心的価値観を実践し、資源を節約し、環境を保護し、経済と社会の持続可能な発展を促進するために、憲法に基づき、この法律を制定する。

第二条  この法律でいう食品とは、「中華人民共和国の食品安全法」に規定された食品を指し、人間が食用または飲用する各種食品を含む。
この法律でいう食品浪費とは、安全に食用または飲用できる食品が、その機能目的によって合理的に利用されなくなり、廃棄、不合理な利用によって食品の量が減少する或いは、品質が低下すること等を意味する。

第三条 国は節約を励行し、浪費に反対する。
国は多くの措置、正確な政策、科学的管理、社会共同統治の原則を堅持し、技術的に実行可能で、経済的に合理的な措置を取って、食品浪費を防止し、減少させる。
国は文明、健康、資源節約、環境保護の消費方法を提唱し、簡単で適度で、グリーンで低炭素の生活方法を提唱する。

第四条 すべてのレベルの人民政府は、反食品浪費業務に対する指導を強化し、反食品浪費の目標と任務を確実にし、反食品浪費業務のメカニズムを確立し、改善し、食品の浪費状況を監視、調査、分析、評価を配置し、監督と管理を強化し、反食品浪費業務を推進しなければならない。
県レベル以上の地方人民政府は、毎年、反食品浪費状況を社会に公表し、反食品浪費を強化するための措置を提案し、社会全体の反食品浪費を継続的に推進しなければならない。

第五条 国務院の開発改革部門は全国の反食品浪費に対する組織調整を強化しなければならない。国務院の関係部門と毎年食品浪費状況を分析し、評価し、全体的に反食品浪費業務を展開し、関連する業務措置と意見を提出し、各関係部門が実施する。
国務院の商務管理部門は飲食業界に対する管理を強化し、業界標準、サービス規範を確立し、改善しなければならない。国務院の市場監督管理部門等と協力して、飲食業界における反食品浪費の制度と基準を確立し、飲食サービス運営者に食事の取り分けサービスを提供するよう奨励し、その反食品浪費状況を社会に公開する。
国務院の市場監督管理部門は、食品生産・運営者に対する反食品浪費状況の監督を強化し、食品生産・運営者に対し、反食品浪費に対する措置を実施するよう要請しなければならない。
国家食糧・物資備蓄部門は、食糧の貯蔵・流通過程における節約と減耗管理を強化し、国務院の関連部門と協力して、食糧の貯蔵、輸送、加工標準の実施を組織しなければならない。
国務院の関連部門はこの法律と国務院が規定する職責に従って、反食品浪費業務を展開するための措置を取る。

第六条  機関、人民組織、国有企業及び事業組織は国家の関連規定に従い、公務の接待、会議、研修等の公務活動の食事規範を細分化し、改善し、管理を強化し、率先して節約を励行し、浪費に反対しなければならない。
公務で食事を手配する必要がある場合、実際の状況に応じて、食事の数と形式を質素に手配し、所定の基準を超えてはいけない。

第七条 飲食サービス運営者は食品浪費を防止するために、以下の措置を取らなければならない。
(一)食品の調達、貯蔵、加工管理システムを確立し、改善し、サービス人員の職業訓練を強化し、食糧を大切にし、浪費の反対を訓練内容に組み入れる。
(二)消費者に対して積極的に食品浪費防止の注意を促し、目立つところに反食品浪費の標識を掲示または配置、或いはサービス担当者によって必要に応じて適量な食事を注文するように消費者を指導する。
(三)飲食の供給品質を向上させ、標準的な規範に従って食品を作り、数量と重量を合理的に確定し、少量の食事やその他の異なる仕様の選択を提供する。
(四)団体用食事サービスを提供する場合、食品浪費防止という概念をメニュー設計に組み込み、人数に応じて料理、主食を合理的に配置しなければならない。
(五)ビュッフェサービスを提供する場合、消費規則と食品浪費防止の要求を積極的に告知し、異なる仕様の食器を提供し、消費者に適量の食事を取るように注意しなければならない。
飲食サービス運営者は消費者に過剰注文を誘導し、誤解させてはならない。
飲食サービス運営者はメニューに食品の量、仕様、推奨消費人数等を表示することによってメニュー情報を充実させ、消費者に注文上の留意事項を提供し、消費者の必要に応じて公共のスプーン、箸と包装サービスを提供することができる。
飲食サービス経営者は「CDアクション」に参加した消費者に対して奨励を与えることができる。明らかな浪費を引き起こした消費者に生ゴミを処理するための適切な料金を請求することもできるが、請求標準を明示しなければならない。
飲食サービス経営者は情報化手段を用いて食事の需要を分析し、中央キッチン、配送センターの建設等の措置を通じて、食品の調達、輸送、貯蔵、加工等の科学的管理を行う。

第八条 食堂のある組織が、食堂の食事管理システムを確立改善しておらず、食品浪費防止の措置を制定し、実施していない場合、広報と教育を強化し、食品浪費対策の意識を高めなければならない。
組織の食堂は食品の調達、貯蔵、加工の動的管理を強化し、食事の人数に応じて食事を調達、調理、分配し、原材料の利用率と調理レベルを向上させ、健康、経済、規範の原則に従って食事を提供し、食事のバランスを重視しなければならない。
組織の食堂は食事の提供方法を改善し、目立つところに反食品浪費の標識を掲示または配置し、食事の適量の注文を取るように指導しなければならない。浪費行為がある場合は、速やかに注意し、是正しなければならない。

第九条 学校は食事人員数、構造を監視し、分析し、評価し、学校の食堂の飲食サービス管理を強化しなければならない。学校外のケータリング組織を選択する場合、導入と廃止メカニズムを確立し、改善し、最適なものを選択しなければならない。
学校の食堂、学校外のケータリング組織は精密化の管理を強化し、必要に応じて食事を提供して、食事の提供方法を改善して、科学的に栄養価の高い食事を用意し、異なった仕様の食事と味の選択を豊かにして、食事と主食の品質を確保するために定期的に食事をした人員の意見を聞く必要がある。

第十条  レストランの出前プラットフォームは消費者に適切な注文をするように明示的に注意しなければならない。飲食サービス運営者が外食プラットフォームを通じてサービスを提供する場合、プラットフォームのページ上で消費者に対して食品の分量や仕様、消費者の人数等の情報を提供しなければならない。

第十一条 観光運営者は観光客の文明的で健康的な食事を指導しなければならない。旅行代理店とツアーガイドはグループの食事を合理的に手配し、観光客に適量の注文と食事を取るよう注意すべきである。関連業界は観光運営者の反食品浪費業務状況を関連する品質基準評価指標に組み入れなければならない。

第十二条  スーパーマーケット、ショッピングモール等の食品運営者は、経営する食品に対して日常検査を強化し、賞味期限に近い食品を分類管理し、特別な表示又は集中的に陳列して販売しなければならない。

第十三条 すべてのレベルの人民政府及びその関係部門は、、贅沢と浪費に反対し、文明的で倹約的な活動を奨励し、推進し、浪費は恥ずべきであり、節約に誇りを持つ雰囲気を形成するための措置を取らなければならない。
結婚式や葬式、友人や家族の集まり、ビジネス活動等の食事が必要な場合、主催者、参加者は適度に食事を準備し、注文し、文明的、健康的な食事をしなければならない。

第十四条  個人は文明的、健康的、理性的、グリーンの消費概念を確立し、外食する時は個人の健康状況、飲食習慣と食事の必要に応じて、合理的に注文し、食事を取らなければならない。
家庭及び家族は家庭生活の中で科学的健康、物を使いきり、浪費を防止する良好な習慣を育成し、日常生活の実際の必要に応じて食料品を調達、貯蔵、製造しなければならない。

第十五条  国は食糧とその他の食用農産物の生産、貯蔵、輸送、加工標準を改善し、新技術、新プロセス、新設備の使用を普及させ、適度な加工と総合利用を導き、損失を低減するように指導する。
食品生産経営者は食品の貯蔵、輸送、加工条件を改善し、食品の腐敗を防止し、貯蔵、輸送中の損失を低減する。食品加工の利用率を高め、原材料の過剰処理及び過剰使用を避けるために措置を取らなければならない。

第十六条 関係する国の標準、業界標準及び地方標準の制定と修正は、食品浪費防止を重要な考慮要素とし、食品の安全を保証することを前提として、最大限に浪費を防止しなければならない。
食品の賞味期限は科学的かつ合理的に設定し、目立つように掲示し、識別しやすいでなければならない。

第十七条 すべてのレベルの人民政府及び関連部門は、反食品浪費に対する監督・検査メカニズムを確立し、発見された食品浪費問題を速やかに是正するよう要請しなければならない。
食品生産・運営者が食品生産・運営の過程において食品を深刻に浪費する場合、県レベル以上の地方人民政府の市場監督管理、商務等の部門は、法定代表人または主要責任者にインタービューを行うことができる。インタービューを受けた食品生産・運営者は直ちに是正しなければならない。

第十八条 機関事務管理部門は関係部門と協力して、機関食堂の反食品浪費業務の有効性評価と通報システムを確立し、反食品浪費を公共機関の省エネ資源審査と節約型機関の設立活動内容に組み入れる。

第十九条  食品、飲食業協会等は業界の自主規制を強化し、法律に従って反食品浪費等の関連団体の標準と業界の自主規制規範を制定、実施し、食品浪費防止の知識を広報し、普及させ、先進的なモデルを促進し、会員に意識的に反食品浪費活動を展開するように指導し、浪費行為がある会員に対して必要な自主規制措置を取らなければならない。
食品、飲食業協会等は、食品浪費に関するモニタリングを実施し、分析と評価を強化し、毎年社会に対して食品浪費に関する状況及びモニタリング評価結果を公表し、国家機関が法律、規制、政策、基準の制定と関連する問題の研究を実施することを支援し、社会の監督を受けなければならない。
消費者協会と他の消費者団体は、消費者に対して飲食消費教育を強化し、浪費に意識的に抵抗する消費習慣の形成を指導しなければならない。

第二十条 機関、人民団体、社会組織、企業事業組織及び末端大衆性自治組織は、節約を励行し、浪費に反対することを大衆的精神文明の創建活動の内容とし、関連する評価システムと各地域の市民公約、村の規制、業界規範等を組み入れ、反食品浪費の広報教育と科学普及を強化し、「CDアクション」を推進し、文明的、健康的、科学的な飲食文化を提唱し、反食品浪費に対する国民の意識を高める。
県レベル以上の人民政府及びその関係部門は、引き続き反食品浪費広報教育を組織し、実施し、かつ反食品浪費を全国食糧安全広報週間の重要な内容としなければならない。

第二十一条 教育行政部門は、学校に対する反食品浪費教育と管理の強化を指導し、促進しなければならない。
学校は規定に従って国家状況教育を行い、節約を励行し、浪費に反対することを教育内容に組み入れ、学習実践、体験労働等の形式を通じて、反食品浪費に関する特別教育活動を展開し、倹約節約に努め、食糧を大切にする習慣を形成するために学生を訓練しなければならない。
学校は食品浪費を防止するための監督と検査メカニズムを確立し、相応する報奨と処罰の措置を制定し、実施しなければならない。

第二十二条 新聞媒体は、反食品浪費に関する法律、法規及び関連基準と知識の公益広報を展開し、先進的な事例を報道し、浪費現象を暴き、国民に正しい飲食消費の概念を確立させするように指導し、食品浪費行為に関する世論監督を行わなければならない。食品浪費対策に関する広報報道は真実で公正でなければならない。
大食いや暴飲暴食等の食品浪費の番組やビデオ情報を作成、公開、配布することを禁じる。
ネットワークオーディオ及びビデオサービスプロバイダは、ユーザーが前項の規定に違反している行為を発見した場合、直ちに関連情報の送信を中止しなければならない。状況が深刻な場合は、情報サービスの提供を停止しなければならない。

第二十三条 県レベル以上の地方人民政府の民政、市場監督管理部門等は寄付需要のマッチングメカニズムを確立し、食品生産・運営者等が食品安全を保証する前提で関係社会組織、福祉機構、救助機構等の組織又は個人に食品を寄付するよう指導する。関連組織は必要に応じて、直ちに食品を受け取り、配布する。
国は社会的勢力が食品寄付活動に参加することを奨励する。インターネット情報サービス提供者はプラットフォームを構築し、食品の寄付等のサービスを提供することができる。

第二十四条  生ごみを発生する組織、家庭及び個人は法律に従って、生ごみの発生源の削減義務を履行しなければならない。

第二十五条  国家組織は栄養状況の監視、栄養知識の普及を行い、市民の科学的な飲食習慣の形成を指導し、不健康な飲食によって引き起こされる病気のリスクを減少させる。

第二十六条  県レベル以上の人民政府は、食品浪費を防止するための科学研究、技術開発等の活動を支援するための措置を取らなければならない。
政府による関連商品とサービスの調達は、食品浪費防止に有益でなければならない。
国は食品浪費防止に役立つ租税政策を実行する。

第二十七条  食品生産・運営者等による食品浪費行為を発見した如何なる組織及び個人も、関係部門と機関に報告する権利を有する。報告を受けた部門と機関は直ちに法律に従って処理しなければならない。

第二十八条  この法律の規定に違反して、飲食サービス運営者が消費者に対して自発的に食品浪費防止を注意しなかった場合、県レベル以上の地方人民政府の市場監督管理部門又は県レベル以上の地方人民政府によって指定された部門が是正を命じ、警告を発するものとする。
この法律の規定に違反して、飲食サービス運営者が消費者に過剰注文を誘発または誤解させ、明らかに浪費を生じさせた場合、県レベル以上の地方人民政府の市場監督管理部門又は県レベル以上の地方人民政府によって指定された部門が是正を命じ、警告を発するものとする。改正を拒否した場合は、千元以上一万元以下の罰金を科せられる。
この法律の規定に違反して、食品の生産運営者が食品の生産・運営過程において深刻な食品浪費を引き起こした場合、県レベル以上の地方人民政府の市場監督管理部門又は県レベル以上の地方人民政府が指定した部門が是正を命じ、是正を拒否した場合、五千元以上五万元以下の罰金を科す。

第二十九条  この法律の規定に違反して、食堂のある組織が食品浪費防止の措置を策定せず或いは実施しなかった場合、県レベル以上の地方人民政府によって指定された部門が是正を命じ、警告を発するものとする。

第三十条  この法律の規定に違反して、放送局、テレビ局、ネットオーディオ及びビデオサービスの提供者が大食い、暴飲暴食等の食品浪費を促進する番組、オーディオまたはビデオ情報を作成、公開、配布した場合、放送、テレビ、ネット情報等の部門はそれぞれの職責に従って是正を命じ、警告を発するものとする。是正を拒否した場合、または事情が深刻な場合、1万元以上10万元以下の罰金を科し、関連業務の一時停止、休業整理を命じ、直接責任者とその他の直接責任者に対して法律に従って法的責任を追及することができる。

第三十一条 省、自治区、中央政府の直轄市又は区を設ける市、自治州は、具体的な状況と実際の必要に応じて、当該地方の反食品浪費に対する具体的な対策を策定するものとする。

第三十二条 この法律は公布の日から施行する。

(中国語原文)

http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202104/83b2946e514b449ba313eb4f508c6f29.shtml