200727_国発【2020】8号_集積回路産業及びソフトウエア産業発展促進政策(日本語試訳)

この日本語試訳は中国語文献理解の補助とするために無償で公開しているものです。厳密な解釈・理解は、必ず中国語原文を確認願います。

国務院が公布した「新時代における集積回路産業及びソフトウエア産業の高品質な発展を促進するための若干の政策」の通知

国発【2020】8号

各省、自治区、直轄市人民政府、国務院各部委、各直属機関

「新時期における集積回路産業及びソフトウエア産業の高品質な発展を促進するための若干の政策」を直ちに公布し、確実に実施してください。

国務院

2020年7月27日

新時代における集積回路産業及びソフトウエア産業の高品質な発展を促進するための若干の政策

集積回路産業とソフトウェア産業は情報産業の中核であり、新しい科学技術革命と産業変革を牽引する重要な力である。「ソフトウエア産業と集積回路産業の発展を奨励するための若干の政策」(国発【2000】18号)、「ソフトウエア産業と集積回路産業の発展をさらに奨励するための若干の政策」(国発【2011】4号)が公布されて以来、中国の集積回路産業とソフトウェア産業の急速な発展は、国家情報化の建設を力強く支え、国民経済と社会の持続的かつ健全な発展を促進した。集積回路産業とソフトウェア産業の発展環境をさらに最適化し、産業の国際提携を深化させ、産業革新能力と発展品質を向上させるために、以下の政策を制定する。

一、財政租税政策

(一)国家が奨励する集積回路の線幅が28ナノメートル以下、かつ経営期間15年以上の集積回路生産企業またはプロジェクトにつき、1年目から10年目までの企業所得税が免除される。国家が奨励する集積回路の線幅が65ナノメートル以下、かつ経営期間15年以上の集積回路生産企業またはプロジェクトにつき、1年目から5年目までの企業所得税が免除され、6年目から10年目までは25%の法定税率を半減して企業所得税が課税される。国家が奨励する集積回路の線幅が130ナノメートル以下、かつ経営期間10年以上の集積回路生産企業またはプロジェクトにつき、1年目から2年目までは企業所得税が免除され、3年目から5年目までは25%の法定税率を半減して企業所得税が課税される。国家が奨励する集積回路の線幅が130ナノメートル以下の集積回路生産企業の課税年度における欠損につき、以後の年度への全繰越年数が最長で10年を超えないことを認める。

集積回路生産企業が税制優遇政策を享受する場合、優遇期間は利益獲得年度から計算される。集積回路生産プロジェクトが税制優遇政策を享受する場合、優遇期間はプロジェクトが最初に得た生産経営収入が属する納税年度から計算される。国家が奨励する集積回路生産企業またはプロジェクトのリストは、国家発展改革委員会、工業と情報化部が関連部門と制定する。

(二)国家が奨励する集積回路の設計、装備、材料、パッケージ、検査企業とソフトウェア企業は、利益獲得年度より、1年目から2年目までの企業所得税が免除され、3年目から5年目までは25%の法定税率を半減した企業所得税が課税される。国家が奨励する集積回路の設計、装備、材料、パッケージ、検査企業の条件は、国家発展改革委員会、工業と情報化部が関連部門と制定する。

(三)国家が奨励する重点集積回路設計企業とソフトウェア企業は、利益獲得年度から、1年目から5年目までの企業所得税が免除され、継続年度では10%の優遇税率で企業所得税が課税される。国家が奨励する重点集積回路設計企業とソフトウェア企業リストは、国家発展改革委員会、工業と情報化部が関連部門と制定する。

(四)集積回路企業またはプロジェクト、ソフトウェア企業に対して国家が実施する所得税優遇政策の条件と範囲について、産業技術の進歩状況に応じてダイナミックに調整する。集積回路設計、ソフトウェア企業は、本政策が実施される以前の年度において、国発【2011】4号に基づき明確にされた「2免3減半」の優遇政策が執行される。

(五)集積回路企業とソフトウェア企業の増値税優遇政策は継続的に実施される。

(六)一定期間内において、集積回路の線幅が65ナノメートル以下の論理電子回路、メモリ生産企業及び線幅の0.25ミクロン以下の特色プロセスの集積回路生産企業(レチクルフォトマスク、8インチ以上のシリコンシートの生産企業を含む)では、生産性原材料、消耗品、浄化室専用建築材料、セットシステムと集積回路の生産設備の部品に係る輸入関税が免除される。集積回路の線幅が0.5ミクロン以下の化合物集積回路生産企業と先進的パッケージ検査企業では、自社生産性原材料、消耗品に係る輸入関税が免除される。具体的な政策は、財政部が税関総署等の関連部門と制定する。企業リスト、免税商品リストは、それぞれ国家発展改革委員会、工業と情報化部が関連部門と制定する。

(七)一定期間内において、国家が奨励する重点集積回路設計企業とソフトウェア企業、及び第(六)条の集積回路生産企業と先進的パッケージ検査企業が、免税できない輸入商品リストに記載されている商品を除き、輸入した自社設備、契約に従い輸入設備に係る技術(ソフトウェアを含む)及び付属品、備品に係る輸入関税が免除される。具体的な政策は、財政部が税関総署等の関連部門と制定する。

(八)一定期間内において、集積回路の重大プロジェクトに係る輸入新設備につき、輸入段階の増値税の分割納付を認める。具体的な政策は、財政部が税関総署等の関連部門と制定する。

二、投融資政策

(九)集積回路の重大プロジェクト建設に対するサービスと指導を強化し、集積回路産業の秩序ある発展を導き、規範化させ、企画段取を的確に行い、リスク提示を強化し、低レベルでの重複建設を避ける。

(十)集積回路企業、ソフトウェア企業の資源統合の強化を奨励し支援し、市場化原則による企業の再編買収に対して、国務院の関連部門と地方政府は積極的に指導し支援し、法律法規政策以外のいかなる形の制限条項を設けてはならない。

(十一)国家と地方にある既存の政府投資ファンドを十分に利用し、集積回路産業とソフトウェア産業の発展を支援し、社会資本を市場化の原則に従い、多くのルートで資金を調達し、投資ファンドを設立し、ファンドの市場化レベルを高めることを奨励する。

(十二)地方政府が信用リスク補償メカニズムの確立を奨励し、集積回路企業、ソフトウェア企業が知的財産権担保融資、株持分担保融資、売掛金担保融資、サプライチェーン金融、科学技術及び知的財産権保険等の手段を通じて商業融資の獲得を支援する。融資担保機構としての役割を十分に発揮し、集積回路企業とソフトウェア分野の微小企業に対して様々な形の融資担保サービスを積極的に提供する。

(十三)商業性金融機関が金融サービスの更なる改善を奨励し、集積回路産業とソフトウェア産業に対する中長期の融資支援を強化し、集積回路産業とソフトウェア産業の発展に適した融資商品を積極的に革新し、リスクコントロールが可能でビジネス上の持続可能の前提で、重大プロジェクトに対する金融支援を強化し、保険資金を資本投資へ導き、銀行投資企業、保険、信託等の非銀行金融機関による専門性資産管理商品の立ち上げを支援する。

(十四)条件に合致する集積回路企業とソフトウェア企業の国内国外での上場融資を強力に支援し、国内上場の審査プロセスを加速し、企業会計準則の関連条件に合致する研究開発支出の資本化処理ができる。条件に合致する企業を科創板、創業板の上場融資を奨励し支援し、関連企業の原始株主の撤出ルートを円滑する。各レベルの資本市場を通じて、異なる発展段階の集積回路企業とソフトウェア企業に株式融資、株式譲渡等のサービスを提供し、直接融資ルートを開拓し、直接融資の比率を高める。

(十五)条件に合致する集積回路企業とソフトウェア企業が、企業債、社債、短期融資債券とミドルタームノート等を発行することで企業の融資ルートを広げることを奨励し、企業が中長期債券等の形で債券市場から資金を調達することを支援する。

三、研究開発政策

(十六)ハイエンドチップ、集積回路装備と製造技術、集積回路の重要材料、集積回路の設計ツール、基礎ソフトウェア、工業ソフトウェア、応用ソフトウェアのコア技術の研究開発に焦点を合わせ、社会主義市場経済条件のもとでコア技術の攻略に係る新しい挙国体制の構築を絶えず模索していく。科学技術部、国家発展改革委員会、工業と情報化部等の部門は、関連業務を組織し実施し、国家重点研究開発計画、国家科学技術重大特別プロジェクト等を積極的に利用すること支援する。

(十七)先進的メモリ、先進的計算、先進的製造、ハイエンドパッケージ検査、重要装備材料、次世代半導体技術等の分野で、業界の特徴をあわせて各革新プラットフォームの建設を推進する。科学技術部、国家発展改革委員会、工業と情報化部等の部門は、関連する革新プラットフォームの研究開発プロジェクトの実施を優先的に支援する。

(十八)ソフトウェア企業がソフトウェア品質、情報セキュリティ、開発管理等の国家基準を実行することを奨励する。集積回路の標準化組織の建設を強化し、標準体系を充実させ、標準検証を強化し、研究開発能力を向上させる。集積回路とソフトウェアの品質を高め、業界の競争力を高める。

四、輸出入政策

(十九)一定期間内において、国家が奨励する重点集積回路設計企業とソフトウェア企業は、自社用設備(開発試験設備を含む)、ソフトウェアとハードウェア、試作品と部品、素子を臨時に輸入する必要がある場合、規定に適合すれば、一時入国の貨物税関手続を適用でき、その輸入税務処理は現行法規に従って行う。

(二十)ソフトウェア企業と海外の信用レベルの高い企業が締結しているソフトウェア輸出契約に対して、金融機関は独立信用審査とリスクコントロールの原則に従い融資と保険面の支援を提供できる。

(二十一)集積回路、ソフトウェア及び情報技術サービスの輸出を推進させ、国際サービスのアウトソーシング業務を強力に発展させ、企業の海外マーケティングネットワークの確立を支援する。商務部は重点国家と地区と長期的な提携体制を確立し、総合的措置を取り企業の新興市場開拓のための条件を関連部門と創造する。

五、人材政策

(二十二)高等教育機関における集積回路とソフトウェア専門分野をさらに強化し、集積回路の一級学科の設置業務を加速させ、産業発展のニーズに密接にあわせてカリキュラム、教育計画と教育方式を設定し調整し、複合的実用型の高レベル人材育成に努める。集積回路とソフトウェア専門に係る専門教官、教育実験室と実習訓練基地の建設を強化する。教育部は監督指導を関係部門と強化する。

(二十三)条件のある高等教育機関では集積回路企業と提携する形を取り、模範的マイクロエレクトロニクス学院の建設を加速することを奨励する。集積回路分野の産業教育融合型企業を優先的に育成する。産業教育融合型企業の育成範囲に入るパイロット企業に対して、職業教育の投資が規定に合致する場合、投資額の30%相当額の当該企業がその年納付すべき教育費付加と地方教育付加と相殺できる。社会にある関連産業投資基金の投入増加を奨励し、高等教育機関連合企業にて集積回路人材育成特別リソースストックの構築を支援する。模範的マイクロエレクトロニクス学院と特色ある模範的ソフトウェア学院は、国際有名大学、多国籍企業と提携し、海外の教員と優良品質な資源を導入し、共同で集積回路とソフトウェアの人材を育成することを支援する。

(二十四)地方は国家の関連規定に従い、集積回路とソフトウェア分野で優れた貢献をしたハイエンド人材、及びハイレベルエンジニアと研究開発設計者を表彰し、ストックオプションのメカニズムを整備する。人材プロジェクトを通じて、トップ専門家と優秀な人材及びチームの導入を強化する。産業集積区または関連産業群において、集積回路とソフトウェア人材の導入に関する政策を優先的に探る。集積回路とソフトウェア人材の導入と研修年度計画を制定し実行し、国家集積回路とソフトウェア人材の国際訓練基地の建設を推進し、特に不足している専門人材の中長期研修を重点的に強化する。

(二十五)業界の自律を強化し、集積回路とソフトウェア人材の合理的かつ秩序ある流動を導き、悪性競争を避ける。

六、知的財産権政策

(二十六)企業に対して集積回路の配置図設計専有権、ソフトウェア著作権の登録を奨励する。集積回路企業とソフトウェア企業が法に基づき知的財産権を申請し、関連規定に合致する場合、関連支援を提供する。集積回路とソフトウェア関連の知的財産権サービスを強力に発展させる。

(二十七)集積回路とソフトウェアに係る知的財産権の保護制度を厳格に実施し、知的財産権侵害の違法行為に対する処罰を強化する。集積回路の配置図設計専有権、ネットワーク環境下のソフトウェア著作権の保護を強化し、ソフトウェア正規品のネットワーク著作権の保護技術を積極的に開発し応用し、集積回路とソフトウェア知的財産権を効果的に保護する。

(二十八)ソフトウェア正規品化に対する長期効果のあるメカニズムの構築を探る。中国国内で販売されるコンピュータ(大型コンピュータ、サーバー、マイクロコンピュータ、ノートパソコンを含む)にあらかじめインストールされているソフトウェアは正規品の必要があり、正規品でないソフトウェアをあらかじめインストールしたコンピュータの販売が禁じられる。政府機関が正規品のソフトウェアを使用する政策措置を全面的に実施し、汎用ソフトウェアに対する政府の集中購買を実施し、ソフトウェア資産の管理を強化する。重要業界と重点分野における正規版ソフトウェア使用に係る作業制度化の規範化を推進する。正規版のソフトウェアの使用に係る宣伝研修と監督検査を強化し、正規版ソフトウェアの使用のために良好な環境を作る。

七、市場展開政策

(二十九)政策指導を通じて、市場需要を牽引とし、集積回路とソフトウェアの革新製品の普及を強化し、技術と産業の更なるグレードアップを促進する。

(三十)集積回路産業とソフトウェア産業の集積発展を推進し、情報技術サービス産業、集積回路産業の創設を支援し、ソフトウェア産業団地の特色化、ハイエンド化の発展を支援する。

(三十一)集積回路とソフトウェア分野の基幹企業、科学研究院、高等教育機関等のイノベーションの主体が、専門的大衆イノベーション空間に代表される各専門化のイノベーションサービス機構の建設を支援し、技術、装備、資本、市場等のイノベーション資源を最適化し、市場メカニズムに従い集積回路とソフトウェア分野を焦点に専門的サービスを提供し、大中小企業の融合発展を実現する。集積回路とソフトウェア産業に対してサービスを提供している専門的大衆イノベーション空間、科学技術企業のインキュベーション、大学科学技術園等の専門的サービスプラットフォームへ支援を強化し、その専門的サービス能力を向上させる。

(三十二)情報技術研究開発応用業務に対して、サービスのアウトソーシング業務の発展を積極的に指導する。政府部門がサービスを購入することで、電子行政業務建設、データセンター建設とデータ処理業務のうち、政府の職責範囲に属し、かつ市場化方式を通じて提供するサービス事項について、条件に合致するソフトウェアと情報技術サービス機構に任せることを奨励する。相応の安全審査と秘密保護管理規定の整備を急ぐ。大手と中型企業が、情報技術応用業務研究開発業務機構に頼り、専門的ソフトウェアと情報技術サービス企業の設立を奨励する。

(三十三)ネットワーク環境における消費者プライバシー及び商業機密の保護制度を整備し、ソフトウェアと情報技術サービスのネットワーク化発展を促進する。各レベルの政府機関と事業機関に対して、安全要求を満たすソフトウェア製品とサービスを普及させる。

(三十四)集積回路産業とソフトウェア産業の市場秩序をさらに規範化し、独占禁止法の実施を強化し、法に基づき各独占行為に対して摘発し、経営者の反独占審査を的確に行い、集積回路産業とソフトウェア産業市場の公正競争を維持する。不正競争に対する法律執行を強化し、法に基づき各不正競争行為を摘発する。

(三十五)業界協会と標準化機構の役割を十分に発揮し、集積回路とソフトウェア関連規格の制定を加速し、集積回路の品質評価とソフトウェア開発コストの計量規範を普及させる。

八、国際提携政策

(三十六)集積回路産業とソフトウェア産業が世界範囲での提携を深化させ、国際企業の中国投資と発展のために良好な環境を積極的に作る。国内高等教育機関と科学研究院が海外の高レベル大学と研究機関との提携を強化することを奨励し、国際企業が中国で研究開発センターの建設も奨励する。国内業界協会が国際業界組織との交流を強化し、国内企業が国内外で国際企業と提携し、国際市場での分業協力と国際標準制定に深く参与することを支援する。

(三十七)集積回路産業とソフトウェア産業の「走出去」(中国企業が積極的な海外進出を図ること)を推進する。国内企業が海外で共同研究開発センターを建設する便利を図り、国際的イノベーションリソースをよりよく利用し産業の発展水準を向上させる。国家発展改革委員会、商務部等の関連部門はサービス水準を高め、企業が投資等の提携のために良好な環境を作る。

九、附則

(三十八)中国国内に設立され条件に合致する集積回路企業(設計、生産、パッケージ、検査、装備、材料の企業を含む)とソフトウェア企業は、所有制の性質を問わず、本政策を享受できる。

(三十九)本政策は国家発展改革委員会が財政部、税務総局、工業と情報化部、商務部、税関総署等の部門と共同で解釈する。

(四十)本政策は公布の日から施行する。国発【2000】18号、国発【2011】4号の文書における明確な政策を引き続き実施し、関連政策と本政策が一致しない場合は、本政策に準じて適用される。

出典:中国国務院

(中国語原文)

http://www.gov.cn/zhengce/content/2020-08/04/content_5532370.htm